12名のトップ棋士をリーダーに
将棋界史上初のドラフト会議で選抜された棋士達が
3名1組のチームを結成し、優勝を目指す魅惑の団体戦
土曜の夜のお楽しみ、第3回AbemaTVトーナメント。
先週(23日)の放送には、メンバー全員が永世資格を保持する
佐藤康光九段を大将に、谷川浩司九段、森内俊之九段を擁する
スーパードリームチーム、「チーム康光」が遂に登場。。
西の怪童・糸谷哲郎八段率いる
都成竜馬六段、高見泰地七段がメンバーの「チーム糸谷」と
予選・Cリーグ・第一試合に臨みました。。
今回はその中から
先鋒戦でいきなり実現致しました、注目の師弟対決
「谷川九段-都成六段」の三番勝負/第1局の模様を
振り返らせていただきます。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲都成六段: なし
△谷川九段: なし
振り駒の結果、先手は都成六段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、谷川九段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
9手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲都成六段: なし
△谷川九段: なし
続く3手目に飛車先を決めた都成六段は
後手の飛車先を角で受けると(7手目▲7七角)
谷川九段が角道を開いたのをみて(8手目△3四歩)
自らの角道を止め、力戦調に駒組みを進めます。。
26手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲都成六段: なし
△谷川九段: なし
一方、自然な駒組みを淡々と進める谷川九段は
右の桂馬を跳躍させ、力を溜めてから(24手目△7三桂)
銀を中央5筋の戦場へと繰り出し、「腰掛銀」に形を決めます。。
30手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲都成六段: なし
△谷川九段: なし
先に仕掛けたのは、谷川九段。。
先手が銀を4筋の戦場に構えたのをみて
銀と桂馬の利きが重なる6筋から突っかけました。。
33手目▲3三角成。
上図での持ち駒
▲都成六段: 角
△谷川九段: なし
都成六段が▲6五同歩(31手目)と応じたのをみて
谷川九段はお隣り7筋の歩を突き合わせ、追撃しますが
都成六段は、ここは同歩とは応じずに角交換を敢行。。
受けには回らず反撃に転じました。。
41手目▲5五銀。
上図での持ち駒
▲都成六段: 角、歩
△谷川九段: 角、歩
角交換成立後
6筋の歩を突き出し拠点を作った(35手目▲6四歩)
都成六段は飛車先の歩を切ってから、駒音高く
5筋の位で銀をぶつけて交換を迫ります。。
ここで手番の谷川九段は、まずは一本
飛車先の歩を突き捨ててから(42手目△8六歩)
銀交換には応じずに、銀を6筋に転がしました。。
((44手目△6五銀)
この手に、都成六段も
銀を4筋に繰り出し、歩を捕獲しますが。。
(45手目▲4四銀)
46手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲都成六段: 角、歩3
△谷川九段: 角
次の瞬間
谷川九段は転がした銀の先へ歩を打ち込み
先手の金の頭上から厳しく反撃に転じました。。
都成六段は▲7七金(47手目)とかわして、以下
△7六歩~▲8七金に△3九角~▲5八飛~△8五歩~
▲7一角~△7ニ飛~▲6ニ角成~△同飛~▲4三金~
△8六歩~▲同金をみて、下図60手目△4ニ歩と進行。。
60手目△4ニ金。
上図での持ち駒
▲都成六段: 歩4
△谷川九段: 角
先手の金を標的に敵陣を乱した
谷川九段は上図で爽やかに自陣に手を戻し
都成六段に「攻めて来い」と催促します。。
この手をみて、都成六段は
注文通りに金交換を成立させ(61手目▲2ニ金)
強く攻勢に転じ、終盤戦の幕を開きました。。
すると。。
74手目△5七角打。
上図での持ち駒
▲都成六段: 金、銀
△谷川九段: 金、歩2
光よりも速く、相手の玉を詰ませてみせる
攻め合いの終盤戦は谷川九段の「光速流」の独壇場。。
圧倒的な攻撃軍を先手陣へ殺到させ、盤上を支配します。。
104手目△5七角打。
上図での持ち駒
▲都成六段: 角2、銀、桂、歩
△谷川九段: 金、歩3
谷川九段のド迫力の攻めの前に
都成六段は玉を逃げ惑うのが精一杯となりますが
上図の金の打ち込みが、いささか強引過ぎたのでしょうか。。
次の▲同玉(105手目)をみて
谷川九段は▲3三桂(106手目)と跳躍させて
金を捕獲しつつ、王手で追撃しますが。。
【 投了図・107手目▲3三同桂不成 】
上図での持ち駒
▲都成六段: 角2、金、銀、桂2、歩
△谷川九段: 金2、歩3
都成六段の▲同桂不成が絶品の切り返し。。
この手が後手玉への王手となっており、駒を沢山渡した
谷川九段は攻防の余地なしとみて、この局面でいさぎよく
勝勢から終点直下の投了を告げました。。
最も強い手で、最短での寄せに拘る
谷川九段の美学が本局では裏目に出た形となり
都成六段がほろ苦くも、貴重な勝利をものにしました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
急転直下。。第3回AbemaTVトーナメント「谷川九段-都成六段の第1局目を振り返ろう」