今朝のエントリーでもご紹介させて頂きました通り
明後日の30日(木)午後4時より、二日に渡って生配信されます
その中で、盟友にして永遠のライバルである
「佐藤康光九段-森内俊之九段」の黄金カードが
実に3年半ぶりに実現、「羽生世代」ファンにとっては
今から待ち遠しいところであります。。
今回は両雄の最後の公式戦顔合わせとなりました
2016年11月16日行なわれた第75期A級順位戦の
5回戦の模様を、あらためてご紹介させていただきます。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: なし
本局の先手は、佐藤九段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、森内九段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
佐藤九段の作戦が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: なし
佐藤九段は2分の少考の後
3手目▲6八銀とし、居飛車の看板戦法であり
両者ともに主戦に据える「矢倉」を明示しました。。
12手目△3二金。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: なし
森内九段も先手の駒組みに追随。。
最近ではめったにみられない正調の定跡手順で
序盤の駒組みは進行して行きます。。
16手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: なし
先に動いたのは、森内九段。。
上図で7筋の歩を突き、急戦投入を示唆すると。。
20手目△5五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: なし
先手が「矢倉囲い」を完成させ
角道が二重に止まった(19手目▲7七銀)
次の瞬間、森内九段は中央5筋の歩を突き合わせ
「阿久津流急戦」を投入しました。。
24手目△5五同角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: なし
互いに銀を5筋に構えてから歩交換が成立。
後手の角が戦場に迫り出した、上図の局面で
午前の対局は終了、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のオーダー 】
佐藤九段: なし
森内九段: チキンカツ定食(みろく庵)
27手目▲5八飛。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩
△森内九段: 歩
佐藤九段は午後の対局開始の一手で
銀を立て、後手の角を追い払うと(25手目▲5六銀)
森内九段がこの戦型の形である7筋に角を引いたのをみて
力強く、飛車を5筋に合わせました。。
35手目▲9七角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩
△森内九段: 歩
先手が拠点に据えた5筋の位を押さえてから
手堅く玉の「入城」を目指す森内九段に対して
佐藤九段は上図で角を9筋の端からのぞかせ
先手らしく積極的に臨戦態勢に入りました。。
この手に対し、森内九段は
9筋の端歩を突き出し(36手目△9四歩)
先手の催促すると。。
37手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩
△森内九段: なし
佐藤九段は3分の少考で
7筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始します。。
森内九段は△同歩(38手目)と応じて、以下
▲7四歩~△6ニ角~▲7五角~△8ニ飛に▲7九玉をみて
△8四角~▲同角~△同飛~下図47手目▲8八玉と進行。。
47手目▲8八玉。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△森内九段: 角、歩
軽く角を捌いてから
佐藤九段が矢倉の中へ玉の「入城」を完了した
上図の局面で、夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
佐藤九段: 麻婆なす丼(紫金飯店)
森内九段: レバニラ炒め・ライス(紫金飯店)
49手目▲1六歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△森内九段: 角、歩
夕食休憩明けの一手で
森内九段が△6ニ金(48手目)と立てて
自陣のバランスを取ると、佐藤九段は返す刀で
争点と離れた1筋の端歩を不意に突きました。。
この手に、
森内九段が1時間6分にも及ぶ大長考の末に
△1四歩(50手目)と受けて返すと。。
51手目▲1五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△森内九段: 角、歩
佐藤九段は22分の考慮の後
1筋の歩を突き合わせ、機敏にして視野広く
そのまま端攻めを開始します。。
59手目▲1八飛。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩
△森内九段: 角、歩
香車を吊り上げてから
角を好所に投入した佐藤九段は(55手目▲3六角)
狙い通りに角で香車を捕獲すると、飛車に手をかけ
スムーズに1筋へ飛・香の二段ロケットを設置すると。。
61手目▲2六香。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: 角、歩2
捕獲した香車を敵陣の薄い2筋に投入。。
気持ちよく手をつなぎ、形勢の針を引き寄せます。。
74手目△3五銀。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△森内九段: 角、歩3
しかし、勝負の鬼・森内九段は簡単には土俵を割らず。。
手厚い受けで先手の大駒を押さえ込み、ギリギリのところで
形勢を保ち、来るべき反撃のチャンスを待ちます。。
すると。。
90手目△8七歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 銀2、歩
△森内九段: 角、香、歩4
森内九段の絡みつくような指し回しに
さすがの闘将・佐藤九段も思うようには身動き出来ず。。
気勢の上がらない先手を尻目に森内九段は、上図の局面で
敵将の頭上から踏み込み、堂々の寄せに出ました。。
【 投了図・114手目△9七桂成 】
投了図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、銀2、香、歩5
△森内九段: 飛、角、歩3
粘る先手を振り切り
最後は頭上から敵将を押しつぶし森内九段の前に
上図の局面で、佐藤九段は無念の投了を告げました。
終局時刻は午前0時27分。
ともに持ち時間を使い切り、1分将棋の死闘を制した
森内九段が威風堂々、見事勝利を飾りました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
両雄最後の公式戦対局。。第75期A級順位戦/5回戦「佐藤康九段-森内九段を振り返ろう」