先の見えないコロナ渦の影響は計り知れず
将棋界でも名人戦と叡王戦の番勝負開幕が延期となり
この時期恒例のイベントもほぼ全てが中止となりました。
また緊急事態宣言発令を受けての対策として
公式戦取組みにも規制がかけられ、本日の公式戦も
女流棋戦2局を含む3局のみと静かな進行が続きます。。
愛知県在住の藤井聡太七段も
公式戦登場の目処が立たず、このご時世とはいえ
ファンとしては寂しいシーズンの開幕に。。
ということで、今回は
藤井七段の前期のご紹介出来なかった対局から
3月16日に行なわれた第68期王座戦・二次予選/2回戦
阿部隆八段との一戦の模様をご紹介させていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲阿部八段: なし
△藤井七段: なし
本局の先手は阿部八段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、藤井七段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し対局はスタートとなりました。。
早々と居飛を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
阿部八段の作戦が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲阿部八段: なし
△藤井七段: なし
阿部八段は3手目▲8八銀とし
居飛車の看板「矢倉」での勝負を指向しました。
16手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲阿部八段: なし
△藤井七段: なし
例によって確立された定跡手順の進行とはならず
早々と飛車先を決めた阿部八段に対し、上図の局面で
藤井七段は飛車のコビンを開き、急戦投入を示唆する
序盤は現代調の「矢倉」の駒組みで進行します。。
27手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲阿部八段: なし
△藤井七段: なし
先に仕掛けたのは、阿部八段でした。
藤井七段が角のラインを変えたのをみて(26手目△3一角)
駒音高く、中央5筋の歩を突き合わせます。。
30手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲阿部八段: なし
△藤井七段: 歩
藤井七段が△同歩(28手目)と応じると
阿部八段は浮いた歩を標的に▲6六銀と繰り出しますが
ここで手番の藤井七段はすかさず、飛車と角の利きが重なる
8筋の歩を突き合わせ、反撃に転じます。。
38手目△8六同角。
上図での持ち駒
▲阿部八段: なし
△藤井七段: 歩
歩交換成立後も
角を上下させながら執拗に8筋から絡みつく
藤井七段は上図で先手撒いた歩の餌に(35手目▲8六歩)
躊躇なく食いつき、駒を捌きに行きます。。
阿部八段はここは▲同金(39手目)と応じて、以下
△同飛~▲8七歩~△7六飛~▲7七銀~△7五飛~
▲5七銀~△8五飛~▲6六銀右をみて、下図48手目
△8ニ飛と滑らかに進行。。
48手目△8ニ飛。
上図での持ち駒
▲阿部八段: 角
△藤井七段: 金、歩3
藤井七段は角との交換で金を手にすると
悠々と飛車を旋回し、元居た場所へと戻しました。。
53手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲阿部八段: 角
△藤井七段: 金、歩3
すると、阿部八段はすかさず反撃。。
4筋に拠点の桂馬を跳ねると(51手目▲4五桂)
続けて飛車先2筋の歩を突き合わせます。。
60手目△4五銀。
上図での持ち駒
▲阿部八段: 角、歩
△藤井七段: 金、桂、歩3
しかし、藤井七段も受けには回らず
上図で先手の拠点の桂馬を銀で食いちぎると。。
62手目△8四桂。
上図での持ち駒
▲阿部八段: 角、銀、歩
△藤井七段: 金、歩3
手にしたばかりの桂馬をすぐに
飛車先へ投入し、銀に当てて臨戦態勢に。。
互いに囲いを決めずに目まぐるしく攻守を入れ替え
活気に満ちた盤上は、いざ開戦の時をまちます。。
74手目△8七歩。
上図での持ち駒
▲阿部八段: 角、桂、歩2
△藤井七段: 金、歩
直後に銀・桂交換が成立すると
藤井七段は飛車先から一気に畳み掛け
先手玉へと鋭く迫ります。。すると
【 投了図・100手目△7五金 】
投了図での持ち駒
▲阿部八段: 角、金、銀3、香、歩5
△藤井七段: なし
藤井七段はそのまま攻め倒し、まさに圧倒。。
神童の厳しい寄せに成す術なく、上図の局面をみて
阿部八段は無念の投了を告げました。。
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Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
現在対局規制中。。第68期王座戦・二次予選/2回戦「阿部八段-藤井七段を振り返ろう」