今回は昨日行なわれました
第91期棋聖戦・二次予選/決勝の好カード
「藤井猛九段-行方尚史八段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井九段: なし
本局の先手は、生粋の居飛車党・行方八段。
初手でいきなり飛車先の歩を突き、居飛車を明示。。
対します、振り飛車党のカリスマ・藤井九段は2手目に
△3四歩と角道を開き、含みを持たせて対局をスタート。。
6手目△4二飛。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井九段: なし
続く3手目に、行方八段が角道を開けたのをみて
藤井九段はすかさず、自らの角道を止めてから(4手目△4四歩)
飛車を4筋へと振り、代名詞である「四間飛車」に構えました。
25手目▲6八金寄。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井九段: なし
互いに飛車のポジションが決まり
戦型がこれしかないと思われた「対抗形」になると
両者は息を合わせて、玉の囲いを目指します。。
淀みなく、振り飛車の相棒「美濃囲い」を完成させた
後手に対して、角を6筋の戦場に構えた行方八段は
「壁銀」と縦に並べた二枚の金の間に玉を組み込む
意欲的な囲いを、上図で完成させました。。
この手をみて藤井九段は
おもむろに角道を開くと(26手目△4五歩)
次に、先手の▲5七銀(27手目)をみて。。
28手目△6六角。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井九段: 角
そのまま角交換を敢行。。
駒組みの負担になりそうな角を捌きました。。
50手目△6三金。
上図での持ち駒
▲行方八段: 角、歩
△藤井九段: なし
角交換成立後
両者はさらにもう一度、角交換を成立させながら
模様を動かしますが、機敏に3筋を押さえた藤井九段が
手持ちの角を先に戦場へと投入(48手目△3四角)。。
来るべき開戦へ向けて形を決めてから
金を囲いに連結、格調高く「高美濃囲い」を完成しました。
61手目▲9五歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: 角、歩
△藤井九段: なし
一方、飛車を押さえ込まれた
行方八段は上図の局面で、9筋の歩を突き合わせ
膠着状態を打破すべく、端から仕掛けを開始しました。。
藤井九段は△同歩(62手目)と応じて、以下
▲9四歩に△2五歩~▲9五香~△9ニ歩~▲9九飛~
△5五歩~▲6五歩~△4六歩~▲6四歩~△5四金~
▲8五桂をみて、下図74手目△5六歩と進行。。
74手目△5六歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: 角、歩2
△藤井九段: 歩
9筋の端に飛車・角の二段ロケットを設置した
行方八段はさらに、6筋の制空権を確保してから
最終兵器の飛び道具、桂馬を高らかに跳躍させ
圧倒的な迫力で迫る攻撃態勢を築きました。。
しかし、将棋界一「美濃囲い」を知り尽くす男
藤井九段は玉を8筋に留めたまま、5筋の歩を取り込み
「かかって来い!」と格好良く、攻め合いを指向しました。。
96手目△8九掻角成。
上図での持ち駒
▲行方八段: 角、桂、香、歩5
△藤井九段: 桂、香、歩
そのままいざ、開戦となると
9筋を崩壊させ、後手玉を孤立させた先手に対して
藤井九段は上図で鋭く角を成り込み、反撃しますが。。
【 投了図・101手目▲5五香 】
投了図での持ち駒
▲行方八段: 角、歩4
△藤井九段: 桂、香、歩
馬の単騎ではどうにもならないほど、陣形の差は大きく
行方八段が金の頭上に香車を打ち込んだ、上図の局面で
藤井九段は成す術なく、無念の投了を告げました。。
プライベートでも親交の厚いカリスマを相手に
会心の勝利を飾った行方八段は、気分も上々に
本線進出を決めました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
会心の端攻め。。第91期棋聖戦・二次予選/決勝「藤井九段-行方八段を振り返ろう」