将棋界に新年の訪れを告げる伝統のタイトル
第68期王将戦への出場権を懸けて争われて来た
挑戦者決定リーグは昨日、いよいよ最終戦となります
7回戦が一斉対局にて行われました。。
今回はその中から
プレーオフ出場をかけた直接対決となった
注目の「豊島将之ニ冠-渡辺明棋王」の模様を
振り返らせていただきます。。
豊島二冠の今期ここまでの成績は
46戦30勝16敗(.652)。順位戦はA級で開幕5連勝中。
リーグ戦は3勝2敗で本局を迎えました。
渡辺棋王の今期ここまでの成績は
27戦20勝7敗(.741)。順位戦はB級1組で開幕8連勝中。
公式戦5連勝と好調をキープし、同じくリーグ戦3勝2敗で並ぶ
豊島二冠との対戦に臨みます。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで15戦して、渡辺棋王が10勝5敗とリード。
しかし、ここ5局は豊島二冠が3勝2敗と盛り返します。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△豊島二冠: なし
本局の先手は渡辺棋王。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、豊島二冠も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△豊島二冠: なし
両者はそのまま飛車先を決め
出だしはすっかり定番となった「相掛かり」に。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△豊島二冠: なし
そこから、やはりおなじみとなった
「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、豊島二冠は銀を6筋に上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△豊島二冠: 角
渡辺棋王はケレン味なく、角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
17手目▲3七銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△豊島二冠: 角
角交換成立後
次なる焦点は右銀のポジショニングとなりますが
渡辺棋王は事前に歩を突いた3筋に銀を繰り上げ
「早繰り銀」あるいは「棒銀」を含みとします。。
20手目△6四銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△豊島二冠: 角
先手の趣向に対して、豊島二冠は
銀を6筋に上げ、「ノーマル角換わり」の常套初段
「腰掛銀」を指向しました。。
23手目▲4六銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△豊島二冠: 角
豊島二冠は居玉のままで
銀を5筋に繰り出し「腰掛銀」に形を決めます。。
(22手目△5四銀)
すると渡辺棋王もすぐに呼応、銀を4筋の戦場へと繰り出し
「腰掛銀」とは相性が悪いとされている「早繰り銀」に構えると
次の△4四歩(24手目)をみて。。
25手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△豊島二冠: 角
3筋の歩を突き合わせ
自陣の駒組みに先がけ、仕掛けを開始しました。。
しかし、豊島二冠が同歩と応じることなく
お隣り4筋の歩を突き出し、「早繰り銀」の頭上を叩くと
渡辺棋王は3筋で歩の交換を成立させてから、狙われた銀を
ジッと3筋へと引き下げます(29手目▲3七銀)。。
ここで手番の豊島二冠は、次に。。
30手目△3三角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、歩
△豊島二冠: 歩
手持ちの角を
自陣3筋へと投入し、機敏に形を決めました。。
40手目△6五桂。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、歩2
△豊島二冠: 歩
堅い玉形を好む渡辺棋王が自陣の整備に取り掛かると
豊島二冠はいまだ居玉のまま、上図で桂馬を跳躍させて
後手番ながらも積極的に、開戦を迫ります。。
49手目▲3四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、歩
△豊島二冠: 歩2
豊島二冠が飛車を走らせ、8筋の歩を切ったところで
渡辺棋王は、後手の起点である角の頭上を歩で叩き
このタイミングでついに、反撃の狼煙を上げました。。
60手目△7六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、銀、歩2
△豊島二冠: 銀
しかし、豊島二冠は受けには回らず攻撃的に
銀交換を成立させると、続いて桂馬交換を要求。。
渡辺棋王は▲6五桂(61手目)と応じて、以下
△同歩に▲7三歩成~△同金~▲7四歩~△6七桂~
▲同金~△6六歩~▲6八金~△6七歩成~▲同金をみて
下図72手目△8八角成と激しく進行。。
72手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角、銀、桂2、歩2
△豊島二冠: 金、銀、歩2
豊島二冠は荒々しい駒捌きで先手陣を切り崩すと
豪快に角を成りこみ、勇ましく勝負を決めに出ました。。
が、しかし。。
【 投了図・99手目▲5ニ銀 】
投了図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角2、金2、銀、桂2、歩4
△豊島二冠: 飛、歩
豊島二冠の踏み込みはいささか強引過ぎたのか
渡辺棋王が後手の猛攻をスイスイとかわしながら
握った手番で敵将の頭上へ、ズバリと銀を打ち込んだ
上図の局面で、豊島二冠は潔く投了を告げました。。
この結果、渡辺棋王は4勝2敗で全日程を終了。
同じく4勝2敗で糸谷哲郎八段、広瀬章人八段が並びましたが
リーグ戦の順位がもっとも低いの広瀬八段が無念の頭ハネとなり
「渡辺棋王-糸谷八段」によるプレーオフが決定しました。
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竜王戦/第4局終局直後に感想
竜王戦/第4局・一日目の所感
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今泉四段、待望の戦術書第三弾!
魂の中飛車で今期も奮闘中。。
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第一人者は絶好調!
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古きよき時代を知って、新しきを知る
谷川浩司九段は「光速流」
では、実兄・俊昭氏のキャッチフレーズは。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
挑戦権はプレーオフへ。。第68期王将戦挑戦者決定リーグ/最終戦「豊島二冠-渡辺棋王を振り返ろう」