今回は昨日行われました
第35期竜王戦ランキング戦の1組/1回戦
注目の「羽生善治九段-佐藤和俊七段」の模様を
振り返らせていただきます。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: なし
振り駒の結果、先手を得たのは佐藤七段。
その初手は角道を開く振り飛車含みの▲7六歩から。。
対します、羽生九段は2手目に飛車先を突く△8四歩と返し
こちらは居飛車を明示して、対局はスタートとなりました。。
5手目▲6六歩
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: なし
続く3手目に
佐藤七段は1筋の端歩を突き、手番を渡すと
羽生九段が角道を開けたのをみて(4手目△4四歩)
自らの角道を止め、振り飛車投入を示唆しますが。。
11手目▲2六歩
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: なし
羽生九段が中央5筋の歩を突くと(10手目△5四歩)
これまでの流れから一転して、飛車先の歩を突き出し
戦型は相飛車に決定しました。。
21手目▲4七銀。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: なし
互いに居玉のまま、力戦模様で駒組みは進行し
佐藤七段は上図で二枚の銀を5筋を挟んで高く並べる
現代調の「雁木」に構えました。。
28手目△4二角。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: なし
一方、先に角のラインを変えた羽生九段は
引いた角を上図で一段上げ、玉の囲いに目処をつけると
次に、佐藤七段が5筋の歩を突いたのをみて。。
(29手目▲5六歩)
30手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: なし
角の利きが重なる7筋の歩を突き合わせ
このタイミングで、先に仕掛けを開始しました。。
佐藤七段は▲同歩(31手目)と応じて、以下
△6四銀~▲7四歩~△8四飛~▲2四歩~△同歩~
▲2五歩~△7五銀~▲2四歩~△2二歩~▲7三歩成~
△8六歩~▲同歩に下図44手目△7三桂と進行。。
44手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: 歩2
△羽生九段: 歩
佐藤七段もすぐに反発し、開戦となりますが
羽生九段はスルスルと銀を角のライン上へ駆け上げると
まずは悠々と、先手が成り込んだ歩を桂馬で払ってから。。
46手目△8六銀。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: 歩2
△羽生九段: 歩2
グングンと手が伸びる後手の圧力の前に
たまらず角を下げた佐藤七段を横目に(45手目▲6八角)
羽生九段は歩を吹き飛ばして銀を飛車先へ乗せ、セオリー通りに
飛車・角・銀・桂が連動した、迫力の攻撃態勢が完成しました。。
55手目▲8六角。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: 銀、歩
△羽生九段: 歩3
このまま完封されてなるものかと
佐藤七段は飛車を5筋に合わせて拠点とすると
上図の局面で、銀との交換でズバリと角切りを決断。。
振り飛車党らしい捌きに命運を託します。。
が、しかし。。
58手目△9二角。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: 銀
△羽生九段: 歩3
羽生九段は手にした角を機敏に自陣の端へ投入。。
桂馬の頭上に突き立てられた歩越しに(57手目▲7四歩)
敵陣の急所を厳しく捉えると。。
62手目△4七角成。
上図での持ち駒
▲佐藤七段: なし
△羽生九段: 銀、歩4
再び受けに回った先手に対し
羽生九段はケレン味なく、まずは7筋の歩を払い
続けて銀との交換で角を先手陣へと放り込み。。
一切のアヤを許さず、勝負を決めに行きます。。
【 投了図・78手目△7七歩 】
投了図での持ち駒
▲佐藤七段: 角、桂、歩
△羽生九段: 銀、歩4
苦しくなった佐藤七段は捨て身の反撃に転じますが
羽生九段は懐深く凌いでから、やはり敵陣の急所である
金の頭上へとどめの叩きを入れた、上図の局面をみて
佐藤七段は為す術なく、無念の投了を告げました。。
序盤から手が伸び、見事な完封勝利を飾った
羽生九段は強さをみせつけ、2回戦進出を決めました。。
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Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
抜群の切れ味。。第35期竜王戦・1組/1回戦「羽生九段-佐藤七段を振り返ろう」