通算100期目のタイトル防衛を目指す羽生善治竜王に
優駿・広瀬章人八段が挑戦する、第31期竜王戦7番勝負。
ここまで3局を消化し、羽生竜王が2勝1敗とリード。
両者にとっての正念場となる急所の第4局が、昨日より
京都府福知山市「福知山城」にて開幕。。
本局の先手は広瀬八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、羽生竜王も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△羽生竜王: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなりますが。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△羽生竜王: なし
そこから「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、広瀬八段は銀を6筋に上げて
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△羽生竜王: 角
羽生竜王は3分の少考で角交換を敢行。
戦型は今シリーズ開幕から4局連続となる
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
28手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△羽生竜王: 角
角交換成立後
細かな駆け引きを入れながら駒組みは進行し
両者はともに攻撃の銀を中央へと繰り出す動きをみせ
「ノーマル角換わり」の常套手段「腰掛銀」を目指します。。
33手目▲4八金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△羽生竜王: 角
しかし、銀の形を決める前に
両者は自陣の駒組みを進め、広瀬八段は上図の局面で
最新形の「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成。。
34手目△7ニ金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△羽生竜王: 角
一方の羽生竜王は金を7筋に上げ、同じく最新形の
「△4ニ玉+7ニ金+8一飛」型に駒を組み上げました。。
45手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△羽生竜王: 角
自陣の駒を組み上げてから
両者は銀を中央5筋へと繰り出し、戦型は
おなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定。。
駒組みが飽和点に達すると、互いにパスを繰り返し
しばし間合いを計り合ってから、上図で広瀬八段が
4筋の歩を突き合わせ、先に仕掛けを開始しました。。
55手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、歩
△羽生竜王: 角
羽生竜王もすぐに応戦し、先手の銀を詰ますと
広瀬八段は飛車先2筋を押し込んでから、銀を引き
5筋での銀交換を申し出ます。。
以下、△同銀~▲同歩(57手目)の進行で
銀交換が成立すると、手番を握った羽生竜王は。。
58手目△4七銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀、歩
△羽生竜王: 角
手にしたばかりの銀を、ノータイムで
敵陣に孤立した金の頭上に叩き込み
機敏に攻勢に転じました。。
63手目▲7五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀、歩
△羽生竜王: 角、歩
羽生竜王が3筋に成った銀を拠点に据えると
広瀬八段は後手の頭の丸い桂馬を標的として
すかさず7筋から反撃を開始。。
羽生竜王が30分の考慮の後
△同歩(64手目)と応じると。。
65手目▲7四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀、歩
△羽生竜王: 角、歩2
広瀬八段が1時間18分の大長考の末に
桂馬の頭上を直接叩いた、上図の局面で
羽生竜王が次の手を封じて、一日目は終了。。
二日目へと指し掛けになりました。。
。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目。。
66手目△4六成銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀
△羽生竜王: 角、歩2
注目の羽生竜王の「封じ手」は△4六成銀。
まずは本命の一手から、二日目はスタートしました。。
68手目△3四銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀
△羽生竜王: 角、歩2
羽生竜王の「封じ手」をみて、広瀬八段が
7分の考慮で、桂馬を2筋に跳躍すると(67手目▲2五桂)
羽生竜王はスッと銀を立て、桂馬の当りを外しながら
陣形を引き締め、攻守に利かせました。。
ここで手番の広瀬八段は、9分の考慮の後
玉を6筋に寄せて、戦場から遠ざけました。。
(69手目▲6八玉)
すると、次の瞬間
70手目△4五角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀
△羽生竜王: 歩2
羽生竜王は手持ちの角を4五の地点に投入。
5筋に浮いた歩を狙いつつ、形を決めました。。
この手をみて
広瀬八段は手を止め、長考に入ります。。
71手目▲5七銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△羽生竜王: 歩2
1時間6分にも及んだ大長考の末に
広瀬八段は手持ちの角を自陣へ手厚く投入。。
5筋の歩を守り、受けに回りました。。
この手に対し、羽生竜王は23分の考慮の後
堂々と5筋の歩を取り(72手目△5六成銀)、以下
▲7三歩成~△同金~▲5六銀~△同角~▲5九飛に
△4五角をみて、下図79手目▲6七角と進行。。
79手目▲6七角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 銀、桂
△羽生竜王: 銀、歩4
広瀬八段が飛車を5筋に合わせてから
「角には角」の合わせで、後手の起点を消しに出た
上図の局面で午前の対局は終了、お昼休憩に突入。。
【 昼食のメニュー 】
広瀬八段
福知山産京地どりの親子丼、アイスティー
羽生竜王
福知山名産鬼そばと名物天ぷら二種
100%オレンジジュース
80手目△6七角成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 銀、桂
△羽生竜王: 角、銀、歩4
午後の対局開始の一手で
羽生竜王はすかさ角交換を敢行すると
次の▲同金(81手目)をみて。。
82手目△2五銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀、桂
△羽生竜王: 角、銀、桂、歩4
争点から遠く離れた2筋に置かれた桂馬を
羽生竜王はこのタイミングで刈り取りました。。
ここで手番の広瀬八段は。。
83手目▲6ニ銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、桂
△羽生竜王: 角、銀、桂、歩4
15分の考慮の後、敵陣の急所へ手持ちの銀を投入し
事前に5筋に据えた飛車と絡めて、反撃に転じました。。
85手目▲5七角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 桂
△羽生竜王: 銀、桂、歩4
羽生竜王は角を王手で投入し手番を稼ぐと(84手目△4六角)
広瀬八段は再び角を合わせ、直後に三度目の角交換が成立。。
先手が飛車で角を取ったのをみて(△同角成~▲同飛~)。。
88手目△4六角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、桂
△羽生竜王: 銀、桂、歩4
羽生竜王は再び王手の筋で角を投入。。
先手の飛車の突進を、ギリギリで縛りつけます。。
この手に対し、広瀬八段は銀を転がし
金は取らずに王手をかけて(89手目▲5三銀不成)、以下
△3三玉~▲6ニ角~△5五銀~▲7八玉~△5七角成~
▲同金寄~△6三金に、下図97手目▲5一角打と進行。。
97手目▲5一角打。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 桂、歩
△羽生竜王: 飛、桂、歩
広瀬八段は飛車をオトリに後手玉へと迫り
二枚の角を重ねて寄せの態勢に入ります。。
すると。。
102手目△8六桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 金
△羽生竜王: 角、桂2、歩4
羽生竜王は玉の上部脱出を視野に入れながら
飛車先へ桂馬を放り込み、強気に攻め合いを求めました。。
112手目△8五飛。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 金、桂
△羽生竜王: 歩5
羽生竜王は手持ちの飛車、角を惜しみなく投入。。
先手玉へと迫り、形勢を掴んだかと思いましたが。。
125手目▲4四銀成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 金、銀、歩2
△羽生竜王: 角、桂2、歩3
終盤戦は広瀬八段の独壇場に。。
正確な大局観で後手に決め手を与えず盛り返し
力強く、羽生玉を仕留めに掛かります。。
【 投了図・133手目▲1五歩 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 金
△羽生竜王: 角、桂2、歩4
広瀬八段の絡みつく寄せの前に
さすがの羽生竜王も為す術なく、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後6時57分。
見事な底力で大きな勝利を飾った広瀬八段が
今シリーズの対戦成績を2勝2敗の五分に戻しました。
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竜王戦/第4局・一日目の所感
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今泉四段、待望の戦術書第三弾!
魂の中飛車で今期も奮闘中。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
第31期竜王戦7番勝負/第4局「広瀬八段、強し。。番勝負は2勝2敗の振り出しに」