2017年度も本日が最終日。
昨日行なわれました第59期王位戦・白組/2回戦
注目の「豊島将之八段-千田翔太六段」の模様にて
今シーズンを締め括らせていただきます。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: なし
△千田六段: なし
先手は豊島八段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、千田六段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
豊島八段の作戦が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: なし
△千田六段: なし
豊島八段は3手目▲2六歩として
現在、プロの将棋の相居飛車で主流となっている
「角換わり」での勝負を指向しました。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: なし
△千田六段: なし
千田六段も「角換わり」に文句なし。
そのまま定跡手順の進行となり、上図の局面で
豊島八段が銀を6筋に上げて、後手からの角交換
あるいは角交換拒否に備えると。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲豊島八段: なし
△千田六段: なし
千田六段はすかさず角交換を敢行。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
20手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: なし
△千田六段: なし
角交換成立後
両者は右銀を中央5筋へと繰り出す動きをみせ
「ノーマル角換わり」の定番である「腰掛銀」を
息を合わせて目指します。。
31手目▲2九飛。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△千田六段: 角
しかし、銀を戦場に繰り出す前に
自陣の駒組みに一手間かけるのが現代の「角換わり」。
豊島八段は上図で、飛車を自陣最下段へと引き下げて
最新形の「△6八玉+4八金+2九飛」型に構えました。。
一方の千田六段も、この手をみて
同じく飛車を自陣最下段へと引き下げると。。
(32手目△8一飛)
34手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△千田六段: 角
入れ替わりに金を立て、先手と同様に
「△4ニ玉+6ニ金+8一飛」型に駒を組みます。。
38手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△千田六段: 角
直後に両者は銀を中央5筋に繰り出し
戦型はおなじみ「角換わり相腰掛銀」に決定。。
豊島八段が飛車先を決めて(37手目▲2五歩)
千田六段が4筋の歩を突いた、上図から次に。。
39手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△千田六段: 角
豊島八段は争点となる
4筋の歩をつき合わせ、仕掛けを開始しました。。
千田六段は△同歩(40手目)と応じて、以下
▲同銀に△5五銀~▲2四歩~△同歩~▲2五歩~
△4七歩~▲3八金~△2五歩~▲7五歩~△4八歩成~
▲同金をみて、下図52手目△4四歩と進行。。
52手目△4四歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、歩
△千田六段: 角、歩
メリハリの利いたやりとりの後
千田六段は4筋で、先手の銀を詰ませました。。
53手目▲2ニ歩。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角
△千田六段: 角、歩
銀を詰まれた豊島八段の切り返しは▲2ニ歩。
後手の桂頭を叩くと、そのまま銀・桂交換が成立します。
59手目▲5六桂。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、香
△千田六段: 銀
駒得となり構成を強める千田六段が、先に
手持ちの角を盤上に投入しますが(58手目△7四角)
豊島八段は捕獲した桂馬を投入し、角道を止めると。。
63手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、香、歩2
△千田六段: 銀、歩
後手が8筋に入れた叩きを手抜いて
オリジナルの右桂も跳躍させて、現代将棋らしく
飛び道具である二枚の桂馬を攻守の基点としました。。
70手目△4七銀。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 角、香、歩
△千田六段: なし
しかし、千田六段も一歩も引かずに畳み掛け
一気呵成に先手陣攻略を狙います。。
84手目△6五桂打。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 香2、歩
△千田六段: 歩2
後手猛攻に、専守防衛で耐え忍ぶ
豊島八段が投入した自陣角も(73手目▲8七角)
9筋の端攻めで封じ込め、千田六段はさらなる連打で
勝負を決めに出ますが。。
103手目▲7五香。
上図での持ち駒
▲豊島八段: 桂2、歩3
△千田六段: 桂
普段は鋭い攻めで魅せる豊島八段ですが
本局では強靭な腰の重さと受けの強さを遺憾なく発揮。。
後手の攻めをことごとく弾き返しながら、形勢を引き寄せます。
【 投了図・113手目▲7七金 】
投了図での持ち駒
▲豊島八段: 桂2、歩4
△千田六段: 桂、歩2
重厚なねじり合いも、豊島八段は突破を許さず。
上図の局面をみて、遂に千田六段は為す術を無くし
無念の投了を告げました。。
王将戦は奪取成らず、A級はプレーオフ敗退と
主役の座を掴み損ねた、悔しい今期の最終戦で
しぶとさと逞しさ、そして強さをみせつた豊島八段が
来期こその想いを胸に、見事な白星を飾りました。。
□□□
勝負はこれから。。
□□□
舞台は総本山、東京・将棋会館にて
□□□
□□□
来期のNHK杯で夢のカードが。。
□□□
詰将棋界最大の祭典
第15回詰将棋解答選手権に神童登場
□□□
前代未聞のプレーオフがついに決着
□□□
NHK杯/決勝では山崎八段が天才の煌き
□□□
「将棋界の一番長い日」は劇的なフィナーレ。。
□□□
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
来期は主役に。。第59期王位戦・挑戦者決定リーグ・白組/2回戦「豊島八段-千田六段を振り返ろう」