今回は
昨日行われました第80期A級順位戦の2回戦
注目の「豊島将之竜王-広瀬章人八段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△豊島竜王: なし
本局の先手は広瀬八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、豊島竜王も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなりますが。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△豊島竜王: なし
そこから「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、広瀬八段は銀を6筋に繰り上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えます。。
この手に対し
豊島竜王はノータイムで。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△豊島竜王: 角
ズバリと角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
29手目▲4七銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△豊島竜王: 角
角交換成立後
同形模様の進行から、両者は銀を中央に構える
「ノーマル角換わり」の定番「腰掛銀」を目指します。。
33手目▲4八金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△豊島竜王: 角
しかし、銀の形を決める前に
自陣の駒を組み上げるのが現代の「角換わり」。
上図で広瀬八段は右の金を立て、現在の主流である
「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成しました。。
この手を受けて、後手も次に8一飛と引けば
先手とリバースモードで駒が組み上がりますが
豊島竜王は追随せず△6五歩(34手目)と突くと。。
35手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△豊島竜王: 角
広瀬八段はすかさず3筋の歩を突き合わせ
このタイミングで、先に仕掛けを開始しました。。
43手目▲7四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、歩
△豊島竜王: 角、歩2
豊島竜王が△3五同歩と応じたのをみて
広瀬八段は桂馬を4筋へ跳ね上げ(37手目▲4五桂)
拠点に据えてから、2筋の歩を突き捨てたのに続けて
7筋の歩を突き越しました。。
上図から次に
豊島竜王がこの歩を銀で払った局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。
【 お昼のオーダー 】
広瀬八段: 冷やしたぬきそば
豊島竜王: 一口ヘレカツ
47手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 歩
△豊島竜王: 歩3
午後の対局開始の一手で
広瀬八段が手持ちの角を投入すると(45手目▲6四角)
豊島竜王も1分の少考ですぐに角を投入(46手目△4四角)。。
5三の地点に利きを足しつつ、開戦後を見据えます。。
戦場が緊迫する中
広瀬八段は銀を5筋の戦場へと繰り出し
「腰掛銀」に形を決め、さらに厚みを持たせると。。
51手目▲5三桂成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 歩
△豊島竜王: 歩3
先手が一本入れた叩きを(49手目▲2二歩)
手抜いて金を立て、攻めを呼び込んだ(50手目△6三金)
豊島竜王に対し、広瀬八段は43分の長考の末に
桂馬を飛び込み、いざ開戦へと舵を切ります。。
豊島竜王は△同角(52手目)と応じて、以下
▲同角成~△同玉~▲2一歩成~△同飛に▲6六歩~
△5五歩~▲7五歩~△同銀~▲9七角~△5六歩をみて
▲7五角~△6四銀~下図65手目▲4五桂と進行。。
65手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 銀
△豊島竜王: 角、桂、歩4
角交換成立直後
桂馬を取り返した広瀬八段は手持ちの戦力をフル活用。。
端に打ち込んだ角で銀を捕獲してから、好所へ桂馬を投入し
王手で迫り、一方的に終盤戦の幕を開きました。。
72手目△5七歩成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 金、銀
△豊島竜王: 角2、桂、歩5
しかし、先手の猛攻を一先ず凌いだ
豊島竜王は中央5筋から敵陣へ割って入り
反撃の狼煙を上げ、厳しく敵将へ迫りますが。。
87手目▲6三玉。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 金、銀、歩2
△豊島竜王: 歩5
下から突き上げる竜王の猛攻に
むしろ背中を押されるように、広瀬は玉を上部へと脱出。。
上図でまんまと敵陣へ到達し、自玉の安全を確保しました。。
113手目▲3七桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 飛
△豊島竜王: 金、銀、桂、歩3
先手玉へと迫るのが難しくなった
豊島竜王も自玉の上部脱出を目指したところですが
しかし、広瀬八段はいち早く後手玉を包囲すると
厳しい寄せでジワジワと締め付けて行きます。。
【 投了図・139手目▲2四歩 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 飛、銀
△豊島竜王: 飛、角2、金3、銀、歩3
正確無比な広瀬八段の寄せの前に
さすがの豊島竜王も為す術なく、上図の局面をみて
万策尽き果て無念の投了を告げました。。
終局時刻は午前0時32分。
見切りの良い踏み込みで攻防の主導権を握り
そのまま押し切った広瀬八段が、今期順位戦初白星で
まずはほっと一息、1勝1敗としました。。
一方、敗れた豊島竜王も
順位成績が1勝1敗となりました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
さすがの終盤力。。第80期A級順位戦/2回戦「豊島竜王-広瀬八段を振り返ろう」