前期優勝者及びタイトルホルダーに
賞金ラインキング上位者を加えた計12名のトップ棋士が
全国各地を回り、公開対局にて優勝を争うトーナメント棋戦
JT杯将棋日本シリーズが、本日開幕の時を迎えました。
□ 第42回JT杯トーナメント表 □
前回大会の覇者・豊島将之竜王を筆頭に
常連である渡辺明名人、羽生善治九段、そしてもちろん
神童・藤井聡太二冠と、今期も豪華なメンバーが顔を揃え
コロナ時代を過ごす将棋ファンに熱戦と元気を届けます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲丸山九段: なし
△広瀬八段: なし
残念ながら緊急事態宣言延長にともない
予定されていた岡山での中国大会が中止となり
「シャトーアメーバ」にて行われた本日の開幕戦は
「丸山忠久九段-広瀬章人八段」の好カードから。。
振り駒の結果、先手となった
丸山九段の初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、広瀬八段も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
9手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲丸山九段: なし
△広瀬八段: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決めてから
いざ、「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、丸山九段は銀を6筋に繰り上げ
後手からの角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲丸山九段: なし
△広瀬八段: 角
広瀬八段はすかさず角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
55手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角、歩
△広瀬八段: 角、歩
角交換成立後
互いに「腰掛銀」に一度は形を決めてから
長い長い駆け引きの末に、中央5筋を拠点とした
丸山九段が強く踏み込み、戦端を開きますが。。
【 千日手成立局面・82手目△5二金 】
投了図での持ち駒
▲丸山九段: 角、歩
△広瀬八段: 角
直後に局面は硬直。。
互いに無理には打開せず、上図の局面で
「千日手」が成立、指し直しとなりました。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△丸山九段: なし
手番を入れ替えて行われる指し直し局。
広瀬八段の初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、丸山九段は2手目△3四歩と角道を開く
仕切り直しの対局はスタート。。
続く3手目に
広瀬八段が▲7六歩と角道を開いたのをみて。。
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: なし
△丸山九段: なし
丸山九段はズバリと角交換を敢行。。
拘りの「4手目一手損角換わり」を投入しました。
19手目▲2六銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△丸山九段: 角
角交換成立後
居玉のまま「腰掛銀」に形を決めた後手に対して
広瀬八段は玉を7筋まで寄せてから(17手目▲7八玉)
銀を飛車先に乗せ、「棒銀」を採用します。。
28手目△1四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△丸山九段: 角
あくまでも居玉まま
位を張った9筋に続いて、1筋の端歩を突き
先手からの仕掛けを待つ丸山九段に対して
囲いを「金無双」に決めた広瀬八段は、次に。。
29手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角
△丸山九段: 角
3筋の歩を突き合わせ
ここで仕掛けを決断しました。。
40手目△3二玉。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、歩
△丸山九段: 角
3筋での歩交換成立後
すぐには追撃せず、銀を自陣へと引き下げ
広瀬八段は無理せず陣形を整えます。。
その間に、丸山九段も居玉を解除し
上図で敢えて戦地の近い3筋へ構えますが。。
次の瞬間
41手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、歩
△丸山九段: 角
「腰掛銀」の頭上を叩き
広瀬八段は満を持しての追撃に出ます。。
52手目△6五桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、歩
△丸山九段: 角、歩
トントン拍子で歩を突き出し戦地を拡大する
先手に対して、丸山九段は上図で桂馬を跳躍。。
反撃の狼煙を上げ、終盤戦へと誘います。。
広瀬八段は▲8八銀(53手目)とかわして、以下
△4六歩~▲同飛~△2八角~▲3八歩~△1九角成に
▲7三角~△8一飛~▲6四角成~△6一飛~▲7四馬~
△7一香をみて、下図65手目▲5二馬と進行。。
65手目▲5二馬。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 金、歩3
△丸山九段: 歩
双方、馬の拠点を作りますが
敵陣1筋で息を潜める後手の馬に対して、はっきりと
躍動的な自軍の馬を活用し、後手の攻撃軍を引きつけてから
広瀬八段は金との交換でズバリと切り捨て、勝負に出ます。。
84手目△6六桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、金、歩3
△丸山九段: 角、歩
そのまま寄せに入った先手に対して
丸山九段も敵将の頭上から激しく食らいつき
勝利への執念を燃やしますが。。
【 投了図・89手目▲7七同金 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、金、桂2、歩4
△丸山九段: 角、銀
先手玉に詰みはなく
広瀬八段が後手の猛攻を凌ぎ切った、上図の局面で
丸山九段は万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
終局時刻は午後4時41分。
正確な距離感で激戦を見事に制した
広瀬八段が2回戦進出を決めました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
本日、第42回JT杯将棋日本シリーズ開幕「千日手・指し直しの末、広瀬八段が2回戦へ」