今回は本日行われています「鬼の棲みか」
第80期B級1組順位戦/9回戦・一斉対局の中から
注目の「藤井聡太四冠-近藤誠也七段」の模様を
ご紹介させていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲近藤七段: なし
△藤井四冠: なし
本局の先手は近藤七段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、藤井四冠は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた神童に対して
近藤七段の意向が明かされる、次の3手目は。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲近藤七段: なし
△藤井四冠: なし
近藤七段はほんの1分の少考で
3手目▲2六歩として「角換わり」を指向しました。。
9手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲近藤七段: なし
△藤井四冠: なし
藤井四冠ももちろん「角換わり」に異存はなく
そのまま定跡手順の進行となり、迎えた上図の局面で
近藤七段は銀を6筋には絞らず、8筋に開いて構えて
後手からの角交換を注文しました。。
この手をみて、藤井四冠は。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲近藤七段: なし
△藤井四冠: 角
ノータイムで角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
21手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
角交換成立後
次なる焦点は右銀の活用方法となりますが
近藤七段は銀の態度を保留したまま駒組みを進め
上図で先に居玉を解除、自陣の安定化を急ぎます。。
26手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
一方の藤井四冠は、居玉のままで
「腰掛銀」に構える段取りをつけてから桂馬を跳躍。。
早い攻めをみせつつ、先手の駒組みをけん制します。。
しかし、この手に対し
近藤七段が4筋の歩を突くと(27手目▲4六歩)
藤井四冠も3分の少考で居玉を解除し(28手目△4二玉)
盤上はジックリと持久戦模様の進行となりました。。
33手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
先に掛けた後手に続いて(30手目△5四銀)
上図で近藤七段も銀を同じく5筋の戦場へと繰り出し
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定。。
38手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
さらに両者は息を合わせて駒組みの完成を目指し
藤井四冠が手堅く玉の「入城」を果たした、上図の局面で
午前の対局は終了、昼食休憩突入となりました。。
【 昼食のオーダー 】
近藤七段: 小雀弥のそば定食(かやく御飯)
藤井四冠: やまがそばの御弁当(冷たいうどん)
41手目▲8八玉。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
午後の対局開始の一手で
午前と合わせて1時間27分に及んだ大長考の末に
近藤七段はジッと金を連結してから(39手目▲6八金右)
後手と同じく玉の「入城」を完了、手厚い模様を築きます。。
駒組みの飽和点が近づく中
手番の回った藤井四冠は、次に。。
42手目△1二香。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
12分の考慮の後、1筋の香車を繰り上げ
より堅くて遠い、「穴熊」投入を示唆しました。。
後手が堅陣を敷く前に仕掛けたい
近藤七段は次に、慌てず遊び駒の桂馬を跳躍。
来るべき開戦へ力を溜めます(43手目▲3七桂)。。
すると、次の瞬間
44手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲近藤七段: 角
△藤井四冠: 角
藤井四冠は58分の長考の末
6筋の歩を突き合わせ、囲いのリフォームではなく
仕掛けの先行を決断しました。。
46手目△8三飛。
上図での持ち駒
▲近藤七段: なし
△藤井四冠: 角
しかし、後手の仕掛けを想定の範囲内だったか
近藤七段はすぐに角を6筋の歩が浮いた裏側へ投入。。
機敏な切り返しで形を決めました(45手目▲6四角)。
逆に、この手は想定外だったのか
藤井四冠が1時間14分の大長考で読み入れ直してから
飛車を浮かせて当たりの桂馬にヒモをつけた、上図の局面で、
夜戦に備えて夕食休憩に突入します。。
果たして、先手の切り返しは決まっているのか。。
あるいは、藤井四冠が自慢の終盤力で再度切り返すのか。。
「鬼の棲みか」の急所の一局は、緊張感に包まれます。。
【 夕食のオーダー 】
近藤七段: マーボー豆腐定食
藤井四冠: ハッシュドビーフとヤサイサラダ(CoCo壱番屋)
表紙は今年の顔・藤井四冠!
将棋世界の最新号/1月号は明日発売!
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
第80期B級1組順位戦/9回戦「藤井四冠-近藤七段は角換わり、敏な切り返し」