現在、絶賛開催中の
第34期竜王戦決勝トーナメントは3回戦まで進行。。
先週の金曜日(2日)には、総本山の東京・将棋会館にて
「佐藤天彦九段-梶浦宏考七段」が行われました。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△梶浦七段: なし
本局の先手は佐藤九段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。。
対します、梶浦七段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局がスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
佐藤九段の意向が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△梶浦七段: なし
佐藤九段は3手目▲6八銀とし
最近よくみる「矢倉」での勝負を指向しました。。
18手目△7四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△梶浦七段: なし
例によって確立された定跡手順は踏襲せず。。
互いに早々と飛車のコビンを開き、急戦を意識する
序盤は現代調の進行をみせますが。。
32手目△4三金右。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△梶浦七段: なし
後手に続けて先手も角を戦場へと迫り出し
角が直接にらみ合う「脇システム」を発動させると
双方、息を合わせた先・後同形模様の進行となり
まずは互いに「矢倉囲い」を完成。。
40手目△1四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: なし
△梶浦七段: なし
さらに息を合わせて
「矢倉囲い」の中へ玉の「入城」を完了すると
両者は格調高く、両サイドの端歩を突き合います。。
同形模様で駒が組み上がったところで
手番の回った佐藤九段は、次に。。
41手目▲6四角。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角
△梶浦七段: なし
1分の少考で角交換を敢行。。
先手から切りよく戦端を開きました。。
44手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角
△梶浦七段: 角
角交換成立直後
佐藤九段が飛車先へ銀を乗せ
「棒銀」に構えたのをみて(43手目▲2六銀)
梶浦七段は7筋の歩を突き合わせ、すかさず反発。。
佐藤九段はすぐに▲同歩(45手目)と応じて、以下
△9五歩~▲同歩~△6五歩~▲同歩をみて△3九角~
▲3八飛~△7五角成~▲1五歩~△6五馬~▲1四歩~
△8六歩~▲同歩~下図58手目△6六歩と進行。。
58手目△6六歩。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、歩5
△梶浦七段: 歩
とんとん拍子で歩を突き捨てながら
攻撃のリズムを作った梶浦七段は馬を機転に据えて
敵陣侵攻を目指し、畳み掛けます。。
68手目△8五桂。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩7
△梶浦七段: 歩
防戦一方となった
佐藤九段は手持ちの角を自陣に投入(63手目▲3七角)。。
反撃のチャンスを待ちますが、梶浦七段の勢いは止まらず。。
上図で飛車先へ桂馬を跳ねて、捌きを狙います。。
73手目▲1三歩成。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 歩7
△梶浦七段: 歩
なかなか途切れない後手の攻めの前に
瞬く間に玉頭が重く、危険にさらされた佐藤九段は
1筋の歩成り込み、端から反撃の狼煙を上げます。。
すると。。
101手目▲5五桂。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 銀、桂、歩5
△梶浦七段: 金、歩2
名人3連覇の偉大なる実績を誇る
佐藤九段はそこからさすがの底力を発揮。。
分厚受けで後手の攻めを跳ね返すと、上図の局面で
桂馬を好所へ跳ね、ジワリと形勢の針を引き戻します。。
が、しかし。。
120手目△6七歩成。
上図での持ち駒
▲佐藤九段: 金、歩8
△梶浦七段: 金
そのまま寄せに入った佐藤九段を向こうに回し
梶浦九段は臆することなく、強い踏み込みで敵将へ迫り
形勢は混沌としたまま、最終盤戦へ突入すると。。
【 投了図・146手目△6五桂 】
投了図での持ち駒
▲佐藤九段: 角、金2、歩9
△梶浦七段: 金、香
激しい寄せ合いを制したのは、梶浦七段でした。
先手の猛攻をギリギリで凌いでから、敵将を仕留め上げ
上図の局面で佐藤九段は無念の投了を告げました。。
手に汗握る大熱戦を見事制した
梶浦七段が力強く、準々決勝進出を決めました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
今期の台風の目に。。第34期竜王戦決勝T/3回戦「佐藤天九段-梶浦七段を振り返ろう」