今回は昨日行われました
棋聖戦・本戦/1回戦を舞台に実現した名人戦の前哨戦
注目の「渡辺明名人-斎藤慎太郎八段」の一戦の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: なし
△渡辺名人: なし
本局の先手は若い挑戦者・斎藤八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、渡辺名人も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
7手目▲8八銀。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: なし
△渡辺名人: なし
互いに居飛車を明示する出だしから
「角換わり」を目指す定跡手順の進行となり
迎えた上図の局面で、斎藤八段は銀を6筋ではなく
8筋に開き、名人からの角交換を注文しました。。
この手に対し、渡辺名人は。。
8手目△3二金。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: なし
△渡辺名人: なし
先手の注文には応じず、3二金と返し
「角を変えたければそちらからどうぞ」と
手番を先手に渡しました。。
この手に、斎藤八段は銀を立て(9手目▲3八銀)
自陣の右側に「美濃囲い」を築いてから飛車先を決め
再度、名人からの角交換をうながすと。。
(11手目▲2五歩)
12手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: なし
△渡辺名人: 角
渡辺名人はここで角交換を敢行。
一手間かけても手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
25手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: なし
△渡辺名人: 角
角交換成立後
斎藤八段は居玉のまま、銀を足早に繰り出し
5筋の戦場へと構え、「腰掛銀」に形を決めます。。
一方、銀を飛車のコビンに待機させ
「早繰り銀」、あるいは「棒銀」を含みとし渡辺名人は
上図から次に、玉を3筋へと下げ(26手目△3一玉)
手堅く囲いに目処をつけます。。
この手に対し
斎藤八段が6筋の歩を突いたのをみて。。
(27手目▲6六歩)
28手目▲8四銀。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: 角
△渡辺名人: 角
渡辺名人は銀を飛車先に乗せ
シンプルながらも破壊力抜群の「棒銀」を明示しました。。
双方、攻撃の銀の形が決まってもなお
斎藤八段は玉には手をつけず、4筋の歩を突き越し
挑発的に位を張った(29手目▲4五歩)、次の瞬間。。
30手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: 角
△渡辺名人: 角
渡辺名人は機敏に反応。。
7筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始しました。。
斎藤八段は狙いの▲4六角(31手目)を投入し
以下、△6四角~▲同角~△同歩~▲4六角△6三金~
▲6五歩~△7三銀~▲6四歩~△同金~▲6八飛をみて
△6五歩~▲同銀~△同金~下図45手目▲同飛と進行。。
45手目▲6五同飛。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: 金、歩2
△渡辺名人: 角、銀
直後に二度目の角交換を成立させた
斎藤八段は連続モーションで角を4六の地点に据えると
飛車を合わせた6筋で駒を捌き、一気に攻勢に出ます。。
が、しかし。。
46手目△8三角。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: 金、歩2
△渡辺名人: 銀
渡辺名人は自らの飛車先へ角を投入。。
先手の飛車に当てながら、成り込みも許さない
絶妙の切り返しを盤上に放ちました。。
51手目▲1三角成。
上図での持ち駒
▲斎藤八段: 金、歩3
△渡辺名人: 銀
渡辺名人は握った手番で角を成り込むと
遅れて突進してきた先手の飛車を(49手目▲6一飛成)
横目に悠々と玉の「入城」を完了させ(50手目△2二玉)
攻防の主導権をガッチリと握りました。。
一方、一発で居玉が危険にさらされた
斎藤八段は緊急初段と角を敵陣へ飛び込ませて
強引に終盤戦の幕を開きますが。。
【 投了図・88手目△3二同玉 】
投了図での持ち駒
▲斎藤八段: 金、銀、歩
△渡辺名人: 香、歩2
一度掴んだ流れを、名人は手放すことなく
渡辺名人は懸命に食らいつく先手の攻めを
丁寧に凌ぎ切った上図の局面で、斎藤八段は
万策尽き果て、無念の投了を告げました。。
前哨戦で貫禄の勝利を飾った渡辺名人は
意気揚々と、2回戦進出を決めました。。
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
前哨戦は圧勝。。第92期棋聖戦・本戦/1回戦「渡辺名人、後手番で貫禄の勝利」