第3回AbemaTVトーナメント/Bリーグ第3試合・大将戦「渡辺三冠-佐々木五段を振り返ろう」

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「チーム渡辺vsチーム稲葉」

 

 

12名のトップ棋士をリーダーに

将棋界初のドラフト会議で選抜された精鋭棋士が

3名1組でチームを結成、優勝を目指す魅惑の団体戦

土曜日夜のお楽しみ、第3回AbemaTVトーナメント。。

 

毎回毎回、期待に違わぬ名勝負が展開されていますが

今回は、16日に放送されました予選Bリーグ/第3試合

「チーム渡辺vsチーム稲葉」から、命運を懸けた大将戦

「渡辺明三冠-佐々木大地五段」の模様を振り返ります。。

 

 

 

2手目△3四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: なし

△渡辺三冠: なし

 

第一試合でまさかの全敗。。

「チーム渡辺」に10ポイントの差をつけられて

予選最終戦を迎えた「チーム稲葉」。。

 

一つの負けも許されない鬼勝負は

大将の稲葉陽八段が先鋒で登場し、意地の2連勝。

中堅戦に登場の気ままな天才・山崎隆之八段もまた

リーダーの気迫を受け止め、2連勝で続きます。。

 

そして迎えた大将戦。。

最強王者・渡辺明三冠と相対したのは

今、将棋界で最も期待を集める若手精鋭のひとり

長崎が生んだ大器・佐々木大地五段。。

 

ここに来て一致団結、鉄の結束で挑む

「チーム稲葉」の勢いそのままに、佐々木五段は見事

第一局目を完勝で制し、怒涛の5連勝で、ついに

ポイントを逆転しました。。

 

しかし、勝てば奇跡の予選通過が決まる第2局。。

千日手指し直し、佐々木五段の時計押し損ねなど

ドラマティックな展開の末、ここは渡辺三冠が勝利。。

 

こちらも土壇場で大将が意地をみせ

決着は最終戦へともつれ込みました。。

 

振り駒の結果、先手を得たのは佐々木五段。

その初手で▲2六歩と飛車先を突き、居飛車を明示します。

対します、渡辺三冠は2手目に角道を開く△3四歩と返し

含みを持たせて大一番をスタートとさせると。。

 

 

 

6手目△8八角成。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: なし

△渡辺三冠: 角

 

何と上図で、渡辺三冠は角交換を敢行。。

手損を気にする渡辺三冠にしては珍しい

「一手損角換わり」となりました。。

 

 

 

24手目△6四銀。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 角

△渡辺三冠: 角

 

角交換成立後

両者は居玉のまま銀を戦場へと繰り出し

戦型は「角換わり相早繰り銀」に決定。。

 

次に、先手に呼応する形で(25手目▲5八玉)

後手も玉を立て、「相中住まい」となったのをみて。。

(26手目△5二玉)

 

 

 

27手目▲3五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 角

△渡辺三冠: 角

 

佐々木五段はすかさず3筋の歩を突き合わせ

気合も十分、このタイミングで仕掛けを開始しました。。

 

渡辺三冠はすぐに△同歩(28手目)と応じて、以下

▲同銀に△8六歩~▲同歩~△8五歩~▲3四歩~

△2ニ銀~▲2四歩~△同歩~▲同飛~△2三歩~

▲2六飛~△8六歩~下図41手目▲8八歩と進行。。

 

 

 

41手目▲8八歩。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 角、歩

△渡辺三冠: 角、歩

 

3筋での歩交換成立直後

渡辺三冠も飛車先8筋から反発し、いざ開戦へ。。

飛車先の歩を切り、3筋に拠点を作った佐々木五段は

ジッと自陣に手を戻し、8筋を低く受けます。。

 

 

 

44手目△9六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 角、歩

△渡辺三冠: 角、歩

 

一方の渡辺三冠は上図で9筋の歩を突き合わせ

現代将棋界の最高峰を極める端攻めを開始すると。。

 

 

 

50手目△8七角。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 角、歩3

△渡辺三冠: なし

 

9筋の香車を一段吊り上げてから

ここが勝負どころと、飛車先へ角を放り込み

一気にアクセルを踏み込みました。。

 

 

 

60手目△8七歩成。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 角、歩4

△渡辺三冠: 銀

 

力づくで駒を捌き、飛車先突破に成功した

渡辺三冠は、先手の銀取りには目もくれず

「と」金を作ってさらなる攻勢を目指します。。

 

ここで手番の佐々木五段は

確実に銀を確保してから(61手目▲7三桂成)

手持ちの角を5筋の位に打ち込み(63手目▲5五角)

二枚角を攻守に利かせて、終盤の攻防に備えますが。。

 

 

 

76手目△5八桂成。

 

上図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 桂、香、歩4

△渡辺三冠: 金、歩

 

終盤戦で主導権を握ったのは

ここまでの流れ通りに、渡辺三冠でした。。

 

攻め手は途切れることなく

厳しく激しく、先手玉を追い込みます。。

 

「渡辺三冠-佐々木五段」の棋譜はこちら

 

 

【 投了図・112手目△2四歩 】

 

 

投了図での持ち駒

 

▲佐々木五段: 金2、桂、歩4

△渡辺三冠: 桂、歩2

 

途切れることのない後手の猛攻を前に

佐々木五段は玉の上部脱出を狙いますが、しかし

渡辺三冠はそれを許さず、さらに厳しく畳み掛けます。。

 

それでも、佐々木五段は最後まで必死に食らいつきますが

上図の局面をみて、ついに力尽き無念の投了を告げました。。

 

最後の最後で絶対王者の底力をみせつけた

渡辺三冠が大一番を制し、辛くも予選通過を決めました。。

 

 

 

 

Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
第3回AbemaTVトーナメント/Bリーグ第3試合・大将戦「渡辺三冠-佐々木五段を振り返ろう」