昨日、今日と朝のエントリーでは
昨年行なわれました第77期名人戦7番勝負
「佐藤天彦名人-豊島将之ニ冠」の第2局を
振り返り投稿させていただきました。。
本来であれば、今期の名人戦で実現した
「豊島将之名人-渡辺明三冠」の頂上決戦で
将棋界は大きな賑わいをみせていたはずですが
このご時世、今は無事の開幕を祈るしかありません。。
今回は
本日が36歳の誕生日でもある渡辺三冠の
前期順位戦の戦いをご紹介させていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△渡辺三冠: なし
舞台は「将棋界の一番長い日」
2月27日に行なわれた第77期A級順位戦/最終戦
対三浦弘行九段戦の模様を振り返らせていただきます。
本局の先手は三浦九段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、渡辺三冠も2手目に同じく飛車先を突く
△8四歩と返し、互い居飛車を明示して対局はスタート。。
4手目△8五歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△渡辺三冠: なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
戦型は「相掛かり」となりました。。
9手目▲9六歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△渡辺三冠: なし
角頭を金で受け、飛車の横腹に銀を立てる
おなじみの同形模様の進行から、迎えた上図の局面で
三浦九段は9筋の端歩を突き、手番を後手に渡します。。
この手をみて
渡辺三冠は5分の考慮の後。。
10手目△5二玉。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△渡辺三冠: なし
端歩を受けずに玉を立て、「中住まい」に構えると
次に、三浦九段が3筋の歩を突いたのをみて。。
(11手目▲3六歩)
12手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△渡辺三冠: なし
渡辺三冠は8筋の歩を突き合わせ
ケレン味なく、飛車先から突っかけました。。
17手目▲7六歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩
以下、▲同歩~△同飛の進行で歩交換が成立すると
三浦九段は突進してきた後手の飛車先を受けることなく
上図で7筋の歩を突き、角道を開けつつ「横歩」を差出し
後手飛車に振りをかけます。。
この手の対し、渡辺三冠は
まずは自らの角道を通すと(18手目△3四歩)
三浦九段が居玉を解除し6八玉と寄せのをみて
注文通りに「横歩」を捕獲(20手目△7六飛)。。
すると、次の瞬間
20手目△2四歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
三浦九段は、すかさず
自らの飛車先2筋で歩を突き合わせました。。
26手目△9三桂。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
2筋でも同じ手順で歩交換が成立。。
互いに飛車を引き下げ、間合いを計り合うと
渡辺三冠が9筋に桂馬を跳ねて力を溜めた
上図の局面で、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
両者ともに「松花堂弁当」
31手目▲8七歩。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
午後の対局開始の一手で
三浦九段が左の桂馬を跳ね(29手目▲7七桂)
角交換を拒むと、渡辺三冠は2筋に歩を打ちこみ
先手の飛車先を受けます(30手目△2三歩)
この手をみて
三浦九段は8筋に歩を打ち角頭をケア。。
すると局面は落ち着き、両者は呼吸を合わせて
しばし、自陣の整備に取り掛かります。。
37手目▲4五桂。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
その最中、機をみて仕掛けのは三浦九段。
後手が角を戦場に迫り出したところで(36手目△4四角)
右の桂馬を4筋の戦場に跳ね上げ、拠点を作ります。。
この手に対し、渡辺三冠は
桂馬に桂馬を合わせて捌きに出ると(38手目△3三桂)
三浦九段はノータイムで桂交換に応じました。。
(39手目▲同桂)
44手目△4一桂。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
桂交換成立後
三浦九段はすぐに4五の地点に桂馬を再投入すると
続けて左の桂馬も6筋の戦場へと跳躍(43手目▲4五桂)
二枚の桂馬を戦場に並べ、迫力ある模様を張りました。。
攻勢強める先手に対し、渡辺三冠は
手にした桂馬を自陣に投入し、5三の地点に利きを足すと
上図から次に、三浦九段が離れ駒の銀を下げてのをみて。。
(45手目▲4九銀)
46手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
ズバリと角交換を敢行。。
大駒を捌き、ここで反撃に転じました。。
49手目▲7七角。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 歩
△渡辺三冠: 歩2
三浦九段の▲同銀(47手目)をみて
渡辺三冠がすかさず角を敵陣3筋に投入(48手目△3七角)。
すると、三浦九段も負けじと7七の地点に手持ちの角を投入し
互いに敵陣の急所を鋭く狙います。。
緊張高まる上図から、次に
渡辺三冠は4筋の歩を突き出して(50手目△4四歩)、以下
▲9四歩~△1九角成~▲9三歩成~△同香~▲5六桂をみて
△4三銀に▲5三桂左成~△同桂~下図59手目▲同桂成と進行。。
59手目▲5三同桂成。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 桂、歩
△渡辺三冠: 桂、香、歩3
後手の桂馬を食いちぎり
三桂の陣を敷いた三浦九段は、狙いであった
後手玉の頭上へ桂馬を連続発射し、一気呵成に
終盤戦の幕を開きます。。
が、しかし。。
72手目△6五桂。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 香、歩4
△渡辺三冠: 桂2、香、歩
本局の踏み込みはいささか強引過ぎたか。。
その後は先手の攻めの速度が思うように上がらず。。
すると渡辺三冠は抜け目なく、上図で手持ちの桂馬を
味よく活用し、反撃の狼煙を上げます。。
【 投了図・74手目△8五桂 】
投了図での持ち駒
▲三浦九段: 香、歩4
△渡辺三冠: 桂、香、歩
渡辺三冠が8筋へ二枚目の桂馬を打ち込んだ
上図の局面をみて、三浦九段は万策尽き果て
無念の投了を告げました。。
最終戦を磐石の勝利で飾った
渡辺三冠は圧巻の全勝優勝で名人挑戦に
自ら花を添えました。。
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Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
目指すは春の本場所。。第77期A級順位戦/9回戦「渡辺三冠-三浦九段を振り返ろう」