初防衛を目指す渡辺明王将に
広瀬章人八段が挑戦する、第６９期王将戦７番勝負。
ここまで５局を消化し、広瀬八段が３勝２敗とリード。
タイトル奪取に王手をかけて迎えた大一番/第６局が
昨日より、佐賀県は上岬町「大幸園」にて開幕。。
第６局の先手は、広瀬八段。
その初手は飛車先を突く▲２六歩から。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△渡辺王将： なし
対します、渡辺王将も
２手目に同じく飛車先を突く△８四歩と返し
対局はスタートとなりました。。
９手目▲６八銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△渡辺王将： なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決めると
そこから「角換わり」を目指す、定跡手順へと進行。。
迎えた上図の局面で、広瀬八段は銀を６筋に構えて
後手から角交換、あるいは角交換拒否に備えます。。
この手をみて、渡辺王将は次に。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△渡辺王将： 角
すかさず角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。
１８手目△７四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△渡辺王将： 角
角交換成立後
居玉のまま１筋の端歩を突き越した先手に対して
渡辺王将は上図で飛車のコビンを開き、急戦を示唆。。
互いに銀の態度を保留し、趣向の駒組みが続きます。。
３５手目▲４八金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△渡辺王将： 角
渡辺王将は意表の「右玉」を採用。。
対する広瀬八段は上図の局面で、最新形である
「▲６八玉＋４八金＋２九飛」型を完成しました。。
３９手目▲６六歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△渡辺王将： 角
先に仕掛けたのは、広瀬八段。
上図で後手が位を取った６筋から突っかけると。。
４７手目▲２四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、歩
△渡辺王将： 角
貴重な一歩を手にした広瀬八段は
自らの飛車先２筋から追撃を開始します。。
５２手目△５五銀左。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、歩２
△渡辺王将： 角
以下、△同歩～▲同飛～△２三歩の進行となり
２筋をおさめた渡辺王将は、天王山・５筋の位で
銀をぶつけて強く、反撃に転じました。。
が、しかし。。
５７手目▲５三銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、歩２
△渡辺王将： 角、銀
銀交換成立直後
広瀬八段は跳ね上げた桂馬を起点に後手陣へ
鋭く踏み込み、盤上にいざ開戦を告げました。。
６４手目△８六歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、桂、歩２
△渡辺王将： 角、銀２、桂
先手の猛攻にようやく一段落がつき
手番を握った渡辺王将は、８筋の歩を突き合せると
次の▲同歩（６５手目）をみて。。
６６手目△６六桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、桂、歩３
△渡辺王将： 角、銀２
拠点の６筋に反撃の桂馬を吊るした
上図の局面で、広瀬八段が次の手を封じて
一日は終了、二日目へと指し掛けになりました。。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目。。
６７手目▲６六同銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、桂２、歩３
△渡辺王将： 角、銀２
注目の広瀬八段の「封じ手」は▲６六同銀。
後手の桂馬を食いちぎり、二日目をスタートしました。。
７０手目△６四銀打。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、桂２、歩２
△渡辺王将： 角、銀２
しかし、渡辺王将が銀を捕獲すると（６８手目△６六同歩）
広瀬八段はじっと自陣に手を戻し、６筋を低く受けました。。
（６９手目▲６八歩）
ここで手番の回った渡辺王将は
手持ちの銀を６四の地点に投入し、６五桂の筋を消しつつ
自陣に嫌らしく潜伏する先手の金を狙います。。
ここも何か先手から仕掛ける手がありそうでしたが
広瀬八段は歩を補充しながら金を引き（７１手目▲７四金）
後手からの仕掛けを待ちます。。
すると、渡辺王将は。。
７１手目▲４七銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、桂２、歩３
△渡辺王将： 角、銀
先手の注文を受けて立ち
手持ちの銀を先手陣へ打ち込み、宣戦布告。。
攻め合いを志向した後手に対し、広瀬広瀬八段が
当たりの金を引き下げた局面で（７２手目△４九金）
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入します。。
【 お昼のメニュー 】
広瀬八段： ローストビーフ丼定食
渡辺王将： 佐賀牛の陶板御膳
７５手目▲８五角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 桂２、歩３
△渡辺王将： 銀
午後の対局開始の一手で
渡辺王将は銀のラインに角をねじ込み（７４手目△６五角）
再び抜け目なく、金取りを狙います。。
この手に、広瀬八段も手持の角を投入。。
金と歩の両方にヒモを付けつつ、来るべき反撃への
拠点を作って、手番を後手に渡しました。。
すると、次の瞬間
７６手目△５八銀成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 桂２、歩３
△渡辺王将： 銀
渡辺王将は銀を敵陣５筋に転がし
飛車に直撃させて角道を開く、気持ちよい一手から
いよいよ決着をつけるべく、終盤戦の幕を開きました。。
広瀬八段は▲５六桂（７７手目）で角道を塞ぎ、以下
△５七成銀～▲６四金～△同銀に▲４一銀～△７四歩～
▲３ニ成銀～△５六角～▲２三飛成～△３三金～▲同成銀～
△同桂～▲２ニ龍をみて、下図９０手目△８七桂と進行。。
９０手目△８七桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 金２、桂、歩４
△渡辺王将： 銀２
激しい攻め合いとなった終盤戦。。
ここでも広瀬八段が先攻し、後手陣を破壊します。。
しかし、タイトル死守への執念を燃やす
渡辺王将が飛車取りに構わず、上図で攻勢に転じると
クライマックスではなく、波乱の幕が開きます。。
９２手目△６九銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 金２、桂、歩４
△渡辺王将： 銀
桂馬の王手を▲８八玉（９１手目）とかわした先手に対し
渡辺王将は△６九銀と食いつきますが、しかしこの手は
首を差し出したようにもみえ、手番を握った広瀬八段が
次に、▲５ニ金から寄せに入れば勝負有り。。
かと、思われましたが。。
９３手目▲７七金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 金２、桂、歩４
△渡辺王将： 銀
何と、広瀬八段は寄せには行かずに金を立て
みすみすチャンスを手放し後手へと手番を渡しました。。
【 投了図・１０８手目△９八金 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段： 飛、銀、桂２、香、歩４
△渡辺王将： 金、歩
苦しい戦いの中で巡ってきた
千載一遇のチャンスを、渡辺王将が逃すはずはなく
そのまま一直線に先手玉を仕留め上げ、上図の局面で
起死回生の逆転勝利をものにしました。。
終局時刻は午後６時１７分。
この結果、今シリーズの対戦成績は３勝３敗となり
タイトルのゆくえは最終戦/第７局へともつれ込みます。。
□□□
王将戦/第６局・一日目の所感。。
□□□
今泉健司四段特別インタビュー
第２弾公開中！文字数は一気に３倍増量！
率直で熱き言葉の数々をご確認ください☆
Source: 柔らかい手～個人的将棋ブログ
土壇場でどんでん返し。。第６９期王将戦７番勝負/第６局「渡辺王将、逆転勝利で決着は最終戦へ」