今回は佳境を迎える日曜午前のお楽しみ
第69回NHK杯将棋トーナメントの準々決勝
注目の「丸山忠久九段-稲葉陽八段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△丸山九段: なし
本局の先手は稲葉八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。。
対します、丸山九段は2手目に角道を開く
△3四歩と返して、対局はスタート。。
含みのある出だしから
続く3手目に、稲葉八段も角道を開くと。。
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△丸山九段: 角
丸山九段は間髪入れずに角交換を敢行。。
拘りの「一手損角換わり」を投入しました。。
14手目△6三銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△丸山九段: 角
角交換成立後、先手の上に一手得した稲葉八段は
攻撃の銀を飛車のコビンに繰り上げ(13手目▲3七銀)
「棒銀」、あるいは「早繰り銀」を含みとします。。
対します、丸山九段は
上図から次に、稲葉八段が居玉を解除したのをみて。。
(15手目▲6八玉)
16手目△5四銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△丸山九段: 角
飛車先を保留し、居玉のまま
攻撃の銀を中央5筋の戦場へと繰り出し
「腰掛銀」に形を決めました。。
20手目△6五銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△丸山九段: 角
一方の稲葉八段は飛車先に銀を乗せ
シンプルながらも破壊力抜群の「棒銀」を採用。。
すると、上図で丸山九段が7筋に浮いた歩を狙い
銀を6筋へ繰り出したのをみて。。
21手目▲3五歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△丸山九段: 角
稲葉八段は3筋の歩を突き出し
このタイミングで仕掛けを決断しました。。
丸山九段は構わず銀で歩を取り込み(22手目△7六銀)
以下、▲5八金右~△8四歩~▲3四歩~△同銀をみて▲5五角~
△8五歩~▲7七歩~△8七銀成~△同銀~▲8六歩~△7六銀に
下図34手目△8七角と激しく進行。。
34手目△8七角。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 銀
△丸山九段: 歩3
天王山・5筋の位に角を打ち込み
左右の歩取りを掛けつつ、攻守に利かせた先手に対し
銀を捨て駒に飛車先を開いた丸山九段は8筋の急所へ
手持ちの角を露骨に打ち込み、一気に勝負へ出ました。。
41手目▲8四歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、銀
△丸山九段: 金、歩4
金との交換で角を捌いた
丸山九段は「と」金で銀取りをみせつつ
こじ開けた8筋からの飛車先突破を狙いますが
稲葉八段は歩を放り込み、飛車の突進を阻止します。。
この手に対し、丸山九段が歩を払わず確実に
銀を取り込んだのをみて(42手目△7六「と」金)。。
43手目▲8三銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△丸山九段: 金、銀、歩4
稲葉八段は、返す刀で
丸山飛車の頭上目がけてガツンと銀を打ち込み
飛車の押さえ込みに勝負を掛けます。。
58手目△8八金。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、銀、歩3
△丸山九段: 銀、歩2
丸山九段が飛車を1筋に逃がすと(44手目△1二飛)
稲葉八段はすかさず成り込んだ角で歩と銀を取り込み
綺麗に駒を剥がした敵陣の上空から、拠点の馬が鋭く
いまだ居玉の敵将を睨みつけ、形勢を引き寄せます。。
ならば、と丸山九段は握った手番で
先手の飛車を押さえ込み、強引な寄せに出ますが。。
【 投了図・69手目▲4三角 】
投了図での持ち駒
▲稲葉八段: 金、銀、歩4
△丸山九段: 飛、香、歩2
しかし、稲葉八段が後手の力技を悠々と凌ぎ
角を重ねて反撃の寄せに出た、上図の局面をみて
まだ粘りが利きそうですが、孤高の天才・丸山九段は
潔く、負けを認めて投了を告げました。。
「羽生世代」最後の砦だった丸山九段は、ここで敗退。。
「関西若手四天王」の一角、稲葉八段が見事激戦を制し
ベスト4に名乗りを上げました。。
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Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
「羽生世代」最後の砦は。。第69回NHK杯/準々決勝「丸山九段-稲葉八段を振り返ろう」