今回は昨日行なわれました
第78期A級順位戦/3回戦の注目カード
「羽生善治九段-稲葉陽八段」の模様を
振り返らせていただきます。
2手目△3四歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△羽生九段: なし
本局の先手は稲葉八段。
その初手は飛車先を突く▲2六歩から。
対します、羽生九段は2手目に角道を開く
△3四歩と返して、対局はスタート。。
戦型に含みを持たせた後手に対し
稲葉八段が続く3手目に、▲7六歩と角道を開くと。。
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: なし
△羽生九段: 角
羽生九段は1分の少考の後
「一手損角換わり」を敢行しました。。
8手目△3三銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
角交換成立後
羽生九段は3三の地点を銀でカバー。。
次に、稲葉八段の▲7七銀(9手目)をみて
後手の振り飛車投入も考えられましたが。。
10手目△6ニ銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
羽生九段は2分の少考で
△6ニ銀とし、居飛車を明示しました。。
20手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
双方、居玉のまま駒組みは進行。。
羽生九段は飛車先を保留したまま桂馬を跳ね
急戦を示唆しつつ、力を溜めます。。
24手目△6ニ玉。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
午前の対局は上図24手目まで進行。
羽生九段が居玉を解除し右玉を明示した局面で
お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のオーダー 】
稲葉八段: サービスランチ(珍豚美人)
羽生九段: サービスランチ(牛肉てりやき)
27手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
午後の対局開始の一手で
6筋の歩を突いた稲葉八段は(25手目▲6六歩)
飛車先を保留したまま駒組みを進める後手に対して
上図で7七に上げた銀を引き下げ、組み替えを図ります。。
この手をみて、羽生九段が
8分の考慮で飛車先の歩を突くと(28手目△8四歩)
稲葉八段は6筋に下げた銀を立て、中央を厚くしました。。
(29手目▲6七銀)
31手目▲4八玉。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
羽生九段は素直にそのまま
先手の駒の利きが減った8筋の歩を突き越すと
稲葉八段も解除し、自陣右側へ構えたのをみて。。
32手目△8六歩。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角
17分の考慮の後
駆け引きの舞台となった8筋の歩をぶつけ
ケレン味なく、飛車先から仕掛けを開始しました。
37手目▲3八金。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 角、歩
以下、▲同歩~△同飛の進行となり
飛車先の歩を切り、貴重な一歩を手にした羽生九段は
稲葉八段が▲8七歩(35手目)と穏便に収めたのをみて
飛車を自陣最下段へと引き下げました。。
この手に対し
稲葉八段は金をジッと3筋に上げて、再び
手番を後手に渡します。。
ジワリと開戦へ機運が高まる中
羽生九段は34分、時間を費やし読みを入れてから。。
38手目△6九角。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角
△羽生九段: 歩
手持ち角を敵陣狭い地点に投入。。
強気の一手に盤上は、風雲急を告げます。。
稲葉八段は57分の長考の末に▲7七角(39手目)と受け
以下、△3五歩~▲2九飛~△4七角成~▲同金~△3六歩に
▲同金~△3五歩~▲同金~△4四銀~▲同金~△同歩~▲3六歩~
△4五歩~▲同歩をみて、下図54手目△4六銀と進行。。
54手目△4六銀。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、銀、歩2
△羽生九段: 金、歩
銀との交換で角を捌いてから
羽生九段は歩の連打で畳み掛けつり出した金を
銀との交換で捕獲し、先手の玉回りを薄くします。
一方、後手に手に乗り自然な対応を重ねた
稲葉八段は桂頭に歩を打ち込み、荒れた局面を
収めに出ますが、羽生九段の攻勢は止まらず
敵将の頭上に銀を打ち込み、勝負に出ます。。
この展開を予想していたのか
稲葉八段は事前に6筋に立てた銀を5筋に繰り出し
玉頭を守ったのをみて(55手目▲5六銀)、羽生九段が
△3五歩と追撃した局面で、夜戦に備えて夕食休憩に突入。。
【 夕食のオーダー 】
稲葉八段: 肉なん定食(温かいうどん)
羽生九段: 親なん定食(温かいうどん)
59手目▲5八玉。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、銀、歩3
△羽生九段: なし
夕食休憩明けの一手で
稲葉八段が▲4五同歩(57手目)と応じると
羽生九段は桂馬目がけて金を露骨に打ち込み
さらにアクセルを踏み込みます(58手目△3六金)。。
後手の弾けるような圧力の前に
稲葉八段はたまらず戦地から玉の避難を開始します。。
77手目▲5五角。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、歩3
△羽生九段: 歩
羽生九段の連打につぐ連打を凌ぎながら
稲葉八段は上図で手持ちの角天王山に投入し
攻守に利かせますが。。
96手目△7七歩成。
上図での持ち駒
▲稲葉八段: 角、桂2、歩3
△羽生九段: 銀2、歩2
羽生九段の猛攻は途切れることなく続き
先手は受けるのが精一杯、盤上を後手が支配します。。
【 投了図・112手目△8八歩 】
投了図での持ち駒
▲稲葉八段: 金、銀、桂、香、歩5
△羽生九段: 飛、金、銀、桂
最後は敵将の頭上に歩を叩き込んだ
上図の局面をみて、稲葉八段は無念の投了。。
羽生九段が躍動感溢れる見事な勝利を飾りました。。
終局時刻は午後11時58分。
この結果、両者の順位戦成績はともに2勝1敗となりました。
□□□
10番勝負は激熱の展開!
王位戦/第4局・一日目の所感
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
強気の躍動感。。第78期A級順位戦/3回戦「羽生九段-稲葉八段を振り返ろう」