「今回は初めての名人戦ということで、新鮮な気持ちで
楽しみながら指せた部分があっていい結果につながった。
そういう気持ちを忘れないようにしたいです」
(名人奪取から一夜が明けて。
来期の名人戦に向けて、豊島新名人のコメント)
114手目△3三同金。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 飛、歩2
△佐藤名人: 金、桂、歩5
昨日、決着をみました
大一番、第77期名人戦7番勝負/第4局は
上図の局面で、夜戦備えて夕食休憩に突入。。
「千日手」を果敢に打開し、自ら戦端を開いた
豊島ニ冠がしなやかに、名人の飛車を捕獲してから
敵陣3筋に一本入れた歩の叩きを(113手目▲3三歩)
佐藤名人が8分の考慮で払いのけ、最後の晩餐へ。。
「夕食のメニュー 】
両者ともに「サンドウィッチ」
113手目▲1五飛。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 飛、歩2
△佐藤名人: 角、金、桂、歩5
夕食休憩明けの一手で
豊島ニ冠は1筋に待機する飛車をフワリと浮かせて
後手の離れ駒となっている二枚の銀をうち、2筋の銀を当て
名人の切り札である△6九角打ちをあからさまに催促しました。。
今シリーズ、終盤の正確さととにも逞しさを際立たせる
充実の挑戦者の前に、常に遅れを取り続けた佐藤名人は
この手をみて、20分の考慮で覚悟を決めると。。
114手目△6九角。
上図での持ち駒
▲豊島二冠: 飛、歩2
△佐藤名人: 金、桂、歩5
豊島ニ冠の注文通りに
先手の急所へ角を打ち込み、命運を託します。
115手目▲6三歩。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 飛、歩
△佐藤名人: 金、桂、歩5
名人に形を決めさせた豊島ニ冠は、返す刀で
先ほどの3筋とは反対サイドとなる敵陣6筋を歩で叩き
右の金も一段吊り上げます(116手目△6三同金)。。
119手目▲2ニ飛。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 歩
△佐藤名人: 金、桂、歩6
敵陣に味をつけた豊島ニ冠は金を寄せ(117手目▲6八金)
自陣に張り付いた角を弾き飛ばすしてから(118手目△3七角成)
握った手番で敵陣2筋に飛車を打ち込み、一息の寄せに出ました。。
121手目▲2一飛成。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 桂、歩
△佐藤名人: 金、桂、歩5
持ち時間も少なくなる中で
佐藤名人は30分、時間を費やし歩の合い駒を選択。。
最善を尽くし手番を待ちます(120手目△3ニ歩)。
しかし、豊島ニ冠は名人に間合いを与えず
ノータイムで桂馬を捕獲し龍を作り、次の手を待ちます。。
124手目△2四金。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 桂、歩
△佐藤名人: 金、桂、歩5
8筋には先手の香車が直通で控えており
玉の横への稼動域が限られている佐藤名人は
吊り上げられた金を2筋に繰り上げ、先手の飛車に当てつつ
手番を稼ぎ、玉の上部脱出の経路確保を目指しますが。。
次の瞬間
123手目▲2五飛。
上図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 銀、桂、歩
△佐藤名人: 金、桂、歩5
豊島ニ冠は6分の考慮で、気と息を整えてから
飛車を逃げずに銀を捕獲し、勝負を決めに出ました。。
佐藤名人はすぐに△同金(124手目)と応じて、以下
▲3四歩~△4一歩~▲4三銀~△同銀~▲同歩成~
△同玉~▲2三龍~△5ニ玉に下図133手目▲6四桂。。
【 投了図・133手目▲6四桂 】
投了図での持ち駒
▲豊島ニ冠: 銀、歩
△佐藤名人: 飛、金、銀、桂、歩5
豊島ニ冠は問答模様に一気に寄せ切り
佐藤名人は為す術なく、上図の局面をみて
無念の投了を告げました。。
見事な完勝をおさめた豊島ニ冠が
この瞬間、今シリーズ開幕から圧巻の4連勝で
悲願の名人奪取を達成しました。
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決戦の舞台は福岡
名人戦/第4局・一日目の所感
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
新時代のうねり高らかに。。第77期名人戦7番勝負/第4局「その瞬間を振り返ろう」