今回は昨日行なわれました注目の初手合い
第90期棋聖戦二次予選/決勝を舞台に実現した
「久保利明九段-藤井聡太七段」の模様を
振り返らせていただきます。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
本局の先手は久保九段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、藤井七段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返し、対局はスタート。。
5手目▲7八金。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
続く3手目に、1筋の端歩を突いた久保九段は
藤井七段が△1四歩(4手目)と受けて返したのをみて
敢えて飛車の振り先を保留したまま、左の銀を立て
後手に手番を渡しました。。
この手に対し、藤井七段が
自然な手となる角道を開けると(6手目△3四歩)。。
7手目▲6六歩。
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
久保九段は待ってましたと言わんばかりに
直接相対峙した角道を止め、角交換を拒みました。。
次に、藤井七段の△6二銀(8手目)をみて。。
9手目▲6八飛。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
久保九段は飛車に手をかけ、6筋へと振り
振り飛車の王道「ノーマル四間飛車」に構えました。
17手目▲7七角。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
戦型が期待通りの対抗形になると
久保九段は藤井七段に対し、居玉のまま駒組みを進める
現代将棋の金字塔「藤井システム」を発動させます。。
一方、自らの角道を通したままで
飛車を保留し、じっくりと相手の出方をうかがう藤井七段が
上図から次に、右の銀を5筋に上げると(18手目△5三銀)。。
19手目▲4八玉。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
久保九段はこのタイミングで居玉を解除。
すると、呼応すうように藤井七段は7筋の歩を突き
穏かな駒組みから一転、急戦投入を示唆しました。。
(20手目△8五歩)
24手目△3三角。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
久保九段はそのまま一息に
「美濃囲い」の中へ玉の入城を完了。
藤井七段はその間に、飛車先を決めてから
角を3筋に上げ、玉の囲いを目指します。。
35手目▲6九銀。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
序盤から緊張感溢れる駒組みが進行し
久保九段は格調高く「高美濃囲い」に組み替えてから
角道を通すと、出だしで7筋に構えた銀を飛車先でなく
6筋の下段に落とし、囲いとの連結を視野に入れます。。
一方、全ての駒を無駄なく戦列に参加させた
藤井七段が次に、1筋の香車を上げて(36手目△1二香)
振り飛車の天敵である「穴熊」投入を明示すると。。
37手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: なし
久保九段は中央5筋の歩を突き出し
角のライン上から、先に仕掛けを開始しました。。
41手目▲5五歩。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: 歩
藤井七段は素直に同歩とは応じずに
飛車を浮かせて不安定な桂馬と連結(38手目△8三飛)。
この手をみて、久保九段は自ら突き合わせた5筋の歩を取りこむと
△同銀(40手目)で前に出た後手の銀を歩で叩きました。。
43手目▲9五角。
上図での持ち駒
▲久保九段: なし
△藤井七段: 歩2
藤井七段が銀を6筋に出したのをみて(42手目△6五銀)
久保九段は角を9筋の端へと迫り出し、後手の桂馬を縛りつけ
先手を握りながら巧みに藤井七段に揺さぶりをかけます。。
ここは我慢の藤井七段は
ジッと銀の底を歩で支えて手番を渡しました。。
(44手目△6四歩)
久保王将はすかさず桂馬を跳躍し(45手目▲7七桂)
以下、△7六銀~▲6四飛~△9四歩~▲6三飛成~
△9五歩~▲7四龍~△4五歩~▲同桂~△5五角に
下図55手目▲8三龍と進行。。
55手目▲8三龍。
上図での持ち駒
▲久保九段: 飛、歩3
△藤井七段: 角、歩4
先手の主導でパタパタと駒が捌かれ
上図で久保九段は起点の龍で飛車を捕獲。。
一連の流れが一段落した、次の瞬間。。
56手目△1五歩。
上図での持ち駒
▲久保九段: 飛、歩3
△藤井七段: 角、歩4
藤井七段は1筋の歩を突き合わせ
端から反撃の火の手を上げました。。
77手目▲6一龍。
上図での持ち駒
▲久保九段: 銀、桂、歩3
△藤井七段: 角、銀、桂、香
しかし、形勢は先手が握ったまま。。
久保九段は強力な二枚の龍を敵陣に侵入させて
さらなる攻勢を目指し、力を溜めます。。
82手目△1七銀。
上図での持ち駒
▲久保九段: 桂、歩4
△藤井七段: 角、桂
しかし、先手のプレッシャーが強まる中でも
腰を入れて模様を張った藤井七段は、拠点の1筋へ
上図で銀を放り込み、果敢に勝負に出ます。。
久保九段は▲同歩(83手目)と応じて、以下
△同歩成~▲3七玉~△2八角~▲4八玉~△4六歩~
▲5七金に△1九角成~▲7一龍上~△2七「と」~▲同銀~
下図94手目△4七香と進行。。
94手目△4七香。
上図での持ち駒
▲久保九段: 銀、桂、歩5
△藤井七段: 桂、歩
藤井七段の猛攻は先手陣に響き渡り
一気に形勢の針を引き戻し、形勢不明の大熱戦へ。。
神童の底力に、さすがの久保九段の手も止まります。。
が、しかし
113手目▲3一龍。
上図での持ち駒
▲久保九段: 銀2、桂、歩4
△藤井七段: 金、歩2
百戦錬磨の久保九段は一瞬の勝機を逃さず。。
藤井七段が銀を取りに来た(112手目△2五歩)
その瞬間に、龍を走らせ寄せに出ました。。
【 投了図・127手目▲5五歩 】
投了図での持ち駒
▲久保九段: 角、歩3
△藤井七段: 飛、金2、銀、歩3
さすがは、久保九段。。
そのまま残酷にして美しく、後手玉を仕留め切り
上図の局面をみて、藤井七段は無念の投了を告げました。
形勢が二転、三転する大熱戦を見事制し
神童相手に貫禄と、振り飛車の魅力と威厳を示した
久保九段が堂々の棋聖戦本戦入りを決めました。。
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大一番の舞台は新潟
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大詰めを迎える第77期順位戦
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C級1組の「一番長い日」は白熱の決着。。
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今年の「将棋界の一番長い日」を振り返る
羽生九段は有終の白星を飾るも。。
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王将戦/第4局終局直後の感想
王将戦/第4局・一日目の所感
決戦の舞台は18年ぶりの沖縄
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藤井七段、衝撃の朝日杯2連覇達成!
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
二転、三転、勝負は一瞬。。第90期棋聖戦・二次予選/決勝「久保九段-藤井七段を振り返ろう」