先週の土曜日(16日)
第12回朝日杯で最強王者・渡辺明棋王と決勝戦を戦い
衝撃的な圧勝で見事、2連覇を達成した藤井聡太七段。
今回は同日に行なわれました
行方尚史八段との準決勝の模様を振り返らせて頂きます。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井七段: なし
本局の先手は行方八段。
その初手は角道を開く▲7六歩から。
対します、藤井七段は2手目に飛車先を突く
△8四歩と返して、対局はスタート。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた後手に対して
行方八段の作戦が明らかとなる、次の3手目は。。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井七段: なし
生粋の居飛車党・行方八段は3手目に▲6八銀とし
居飛車の看板戦法「矢倉」での勝負を指向しました。。
18手目△6四銀。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井七段: なし
しかし、王道の定跡手順とはならず
藤井七段は早々と飛車のコビンから銀を繰り出し
角道もオープンのまま「早繰り銀」を投入します。。
21手目▲6七金右。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井七段: なし
攻撃的に駒組みを進める藤井七段に対して
ソフトでの研究が全盛の時代に倣いの将棋を大切にし
自らの思考を搾り出し、納得した手で勝負する行方八段は
上図で格調高く、「矢倉囲い」を完成させますが。。
次の瞬間
22手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: なし
△藤井七段: なし
藤井七段は玉の囲いは後回しと
7筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始しました。。
行方八段は▲同歩(23手目)と応じて、以下
△同銀~▲5七銀~△8六歩~▲同銀~△同銀~▲同歩~△同飛~
▲8七歩~△8ニ飛~▲2五歩~△6四歩をみて▲9六歩~△9四歩と
端歩を突き合ってから、▲7九玉に下図38手目△5二金と進行。。
38手目△5二金。
上図での持ち駒
▲行方八段: 銀、歩
△藤井七段: 銀、歩2
藤井七段は最初の仕掛けで銀交換を成立させると
その流れで飛車先の歩を切ってから、自陣に手を戻し
離れ駒の金を連結して玉回りを引き締めました。。
ここまでは後手の手に乗った形の
行方八段は手番を握った上図から、次に。。
39手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: 銀、歩
△藤井七段: 銀、歩2
飛車先2筋の歩を突き合わせ
すかさず反撃に転じますが。。しかし
46手目△8五銀。
上図での持ち駒
▲行方八段: 銀、歩2
△藤井七段: 歩2
先手も同じく飛車先の歩を切ると
1筋の端歩を突き合い、一つ間合いを計ってから
攻守は再び入れ替わり、藤井七段は手持ちの銀を
飛車先に放り込み、力強く「棒銀」に構えました。。
49手目▲9七角。
上図での持ち駒
▲行方八段: 銀、歩2
△藤井七段: 歩2
常に好戦的で抜け目のない藤井七段に対して
行方八段は桂馬を跳ねて「棒銀」を追い払ってから
歩を突いた9筋の端に手持ちの角を投入。。
負けじと素早く臨戦態勢に入ります。。
67手目▲6五歩。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩2
△藤井七段: 歩2
先手の迫力ある指し回しを前に
藤井七段が角のラインを歩で遮断すると(50手目△7五歩)
局面はひとまず落ち着きを取り戻しましたが、戦場では激しく
押し問答が続き、主導権争いが繰り広げれます。。
73手目▲6五桂。
上図での持ち駒
▲行方八段: 歩3
△藤井七段: 歩2
しかし、ジワジワと後手の圧力が強まり始めると
行方八段は上図で桂交換を注文し、捌きに出ますが。。
78手目△4五桂。
上図での持ち駒
▲行方八段: 銀、桂、歩3
△藤井七段: 金、歩2
そのまま桂交換に続き、金と銀の交換が成立すると
手番を握った藤井七段は、手にしたばかりの桂馬を
4筋の戦場へぶら下げ先手を取ります。。
80手目△5七桂成。
上図での持ち駒
▲行方八段: 銀、桂、歩3
△藤井七段: 金、銀、歩2
「来るなら来い!」と覚悟を決めた行方八段が
当たりの銀を逃げずに桂先へ歩を突き出すと(79手目▲4六歩)
藤井七段は躊躇なく桂馬を敵陣へと飛び込ませ、王手で銀を捕獲。。
ガッチリと主導権を確保して終盤戦の幕を開きました。。
96手目△8八飛成。
上図での持ち駒
▲行方八段: 角、歩2
△藤井七段: 角、金、銀、歩5
終盤戦は藤井七段の独壇場。。
角に続いて上図であっさり飛車も斬り捨てて
終盤の腰の重さに定評の行方八段に粘りを与えず
淡々と、勝負を決めに行きます。。
【 投了図・120手目△4四桂 】
投了図での持ち駒
▲行方八段: 飛2、角、金、銀、歩2
△藤井七段: 銀2、歩5
行方八段の必死の反撃も、形勢には響かず。。
逆に、藤井七段の鋭い寄せを途切れることなく
上図の局面で、行方八段はついに万策尽き果て
無念の投了を告げました。。
実力者を翻弄し、そつなく仕留め上げた
藤井七段は午後からの午後の決勝へ。。そして
藤井七段、衝撃の朝日杯2連覇達成!
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秀英対決はともに譲らず。。決着は最終戦へ
Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
連覇への序曲。。第12回朝日杯/準決勝「行方八段-藤井七段を振り返ろう」