羽生竜王、27年ぶりの無冠転落。。第31期竜王戦/第7局「見事な完勝で文句なし、広瀬新竜王誕生」

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通算100期目のタイトル防衛を目指す羽生善治竜王に

優駿・広瀬章人八段が挑戦する、第31期竜王戦7番勝負。

 

ここまで6局を消化し、ともに譲らず3勝3敗のイーブン。

いよいよ決着がつく世紀の大一番、最終戦/第7局が昨日より

山口県下関市「春帆楼」にて、開幕の時を迎えました。

 

 

 

竜王戦/第7局・柔らかいプレビュー

 

 

振り駒で決まる最終戦の手番で

幸先良く先手を得たのは、広瀬八段でした。

 

 

 

2手目△8四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: なし

△羽生竜王: なし

 

広瀬八段の初手は飛車先を突く▲2六歩から。

対します、羽生竜王も2手目に同じく飛車先を突く

△8四歩と返し、対局はスタート。。

 

 

 

4手目△8五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: なし

△羽生竜王: なし

 

次に両者は息を合わせて飛車先を決め

まずは「相掛かり」の出だしに。。

 

 

 

9手目▲6八銀。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: なし

△羽生竜王: なし

 

そのまま「角換わり」の定跡手順へと進行し

迎えた上図の局面で、広瀬八段は銀を6筋に上げて

後手から角交換、あるいは角交換拒否に備えると。。

 

 

 

10手目△7七角成。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: なし

△羽生竜王: なし

 

羽生竜王は2分の少考で角交換を敢行。

手損のない「ノーマル角換わり」となりました。。

 

 

 

28手目△6三銀。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角

△羽生竜王: 角

 

角交換成立後

両者は細かな駆け引きを繰り広げながら

銀を中央に繰り出す、「ノーマル角換わり」の常套手段

「腰掛銀」模様で駒組みは進行して行きます。。

 

 

 

32手目△6ニ金。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角

△羽生竜王: 角

 

しかし、銀の態度を決める前に

羽生竜王は上図で金を立て、最新形である

「△4ニ玉+6ニ金+8一飛」型を完成。。

 

この手をみて、広瀬八段も。。

 

 

33手目▲4八金。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角

△羽生竜王: 角

 

同じく金を立て、後手と対称を成す

「▲6八玉+4八金+2九飛」型を完成しました。。

 

 

 

38手目△9四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角

△羽生竜王: 角

 

双方、自陣の駒が組みあがると銀を5筋に繰り出し

大一番の戦型は両者得意の「角換わり相腰掛銀」に決定。

ともに玉の「入城」の手配を整えると、上図で羽生竜王が

ここまで保留した9筋の歩を突き、同形模様となりました。

 

すると、次の瞬間

 

 

 

39手目▲4五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角

△羽生竜王: 角

 

広瀬八段は49分の長考の末に

桂馬を4筋の戦場へと跳躍、仕掛けを開始しました。。

 

 

 

41手目▲6六角。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: なし

△羽生竜王: 角

 

羽生竜王が銀を引いてかわすと(40手目△4ニ銀)

広瀬八段はすかさず手持ちの角を6筋の戦場に投入。。

ケレン味なく、先に形を決めました。。

 

 

 

47手目▲2四歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: なし

△羽生竜王: 歩2

 

羽生竜王は格言通りに「角には角」を合わせますが

広瀬八段は構うことなく、矢継ぎ早に歩の突き捨てを入れ

模様を動かしながら、勢いを加速すると。。

 

 

 

51手目▲2四飛。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 歩2

△羽生竜王: 香、歩3

 

後手の香車を吊り出してから、飛車を突進。。

後手陣へと圧力を強めて行きます。。

 

ここまで、後手の仕掛けに自然な対応をみせた

羽生竜王は飛車先を歩で押さえると(52手目△2三歩)

広瀬八段が飛車を引かずに1筋にかわしたのをみて。。

(53手目▲1四飛)

 

 

 

54手目△6六角。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 歩2

△羽生竜王: 角、香、歩2

 

このタイミングで二度目の角交換を敢行。。

 

 

 

58手目△1六角。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角

△羽生竜王: 歩2

 

角交換成立直後、羽生竜王は先手の飛車を標的に

手持ちの香車と角を続けて投入、反撃の狼煙を上げました。。

 

 

竜王戦/第7局・一日目の流れ

 

 

【 一日目終了図・70手目△7三同金 】

 

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、桂、歩5

△羽生竜王: 歩2

 

しかし、羽生竜王が一先ず局面を収めると

広瀬八段は握った手番で再び攻勢を強めます。。

すると、羽生竜王も自らの飛車先8筋から反撃し

そのままいざ、開戦となりました。。

 

互いに我が道を行く進行から

羽生竜王が先手の「と」金を払った、上図の局面で

広瀬八段が次の手を封じて、一日目が終了。。

 

一夜が明けて

迎えた本日、決着の二日目は。。

 

 

 

71手目▲5八金。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、桂、歩5

△羽生竜王: 歩2

 

注目の広瀬八段の「封じ手」は▲5八金。

最も自然な本命の一手から、二日目はスタート。。

 

 

 

73手目▲3九飛。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、桂、歩5

△羽生竜王: 歩2

 

広瀬八段の「封じ手」をみて

羽生竜王は9分の考慮で、あらためて読みを入れてから

成香を先手の飛車に当てました(72手目△2七成香)。。

 

この手も本命の一手で

広瀬八段がノータイムで飛車を引き下げると

羽生竜王はさらに、成香で飛車を追いますが。。

(74手目△2八成香)

 

 

 

75手目▲6九飛。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、桂、歩5

△羽生竜王: 歩2

 

広瀬八段はここも1分の少考で

スムーズに、飛車を狙いの6筋へ移動しました。。

 

ここまでは想定された進行。。

ここからが後手の正念場となりますが、羽生竜王が

ほんの1分の少考で、4筋の歩を突き出すと。。

(76手目△4四歩)

 

 

 

77手目▲8五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、歩5

△羽生竜王: 歩2

 

広瀬八段は桂馬取りに構うことなく

後手陣に浮いた金を目がけて桂馬を投入。。

自信有り気な一着に、盤上に緊張が走ります。。

 

 

 

80手目△7一歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、歩4

△羽生竜王: 歩

 

羽生竜王が48分の長考の後

狙われた金を6筋に寄せると(78手目△6三金)

広瀬八段はすかさず7筋に歩を垂らし、厳しく追撃。。

(79手目▲7三歩)

 

この手に対し、ここは我慢と

羽生竜王が7筋の底に歩を打ち込んだのをみて。。

 

 

 

81手目▲6五歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、歩4

△羽生竜王: 歩

 

広瀬八段は駒音高く

6筋の歩を突き出し、いざ勝負とけしかけます。。

 

羽生竜王は馬を引いて(82手目△2五馬)、以下

▲3六歩~△6ニ金~▲6四歩~△4五歩に▲1ニ歩~

△3六馬~▲4七金~△1四馬をみて、下図91手目

▲3六歩と進行。。

 

 

 

91手目▲3六歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、歩2

△羽生竜王: 桂、歩2

 

盤面を広く、正確に見通す

広瀬八段が敵陣1筋に嫌らしく歩を垂らしてから

後手の切り札である馬を追い返した、上図の局面で

午前の対局は終了、昼食休憩に突入します。。

 

【 昼食のメニュー 】

 

広瀬八段: ふくカツカレー

羽生竜王: とらふく寿司と茶そば瓦風

 

 

 

92手目△2ニ玉。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 角、歩2

△羽生竜王: 桂、歩2

 

午後の対局開始の一手で

羽生竜王は玉を2筋に「入城」させて

嫌味な1筋の歩を剥がしに出ます。。

 

この手をみて

広瀬八段は手を止め、長考に耽ります。。

 

 

 

93手目▲4一角。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 歩2

△羽生竜王: 桂、歩2

 

47分の長考の後

広瀬八段は敵陣4筋に手持ちの角を投入。。

次の△3一金(94手目)をみて、馬を作りました。。

(95手目▲7四角成)

 

 

 

98手目△6七歩。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 歩3

△羽生竜王: 桂、歩2

 

8五の桂馬、7三の歩、そして6四の歩。。

小駒で築いた厚みの中に、馬がキチッとはまり込み

見るからに強大な攻撃態勢が整った、先手に対して

羽生竜王は敵陣6筋に歩を垂らし起点を作りますが。。

 

 

 

99手目▲5四銀。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 銀、歩3

△羽生竜王: 桂、歩2

 

広瀬八段は構うことなく、銀交換を敢行。

「主導権を握るのは俺だ」と言わんばかりに

アクセルを強く踏み込みます。。

 

 

 

102手目△5五桂。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 銀、歩4

△羽生竜王: 銀、歩2

 

銀交換成立直後

広瀬八段は飛車を走らせ、堂々と歩を捕獲。。

(101手目▲6七飛)

 

ここで手番の羽生竜王は、天王山

5筋の位に桂馬を打ち込み、飛車・金両取りから

形勢打開への糸口を探ります。。

 

広瀬八段は飛車を一段上げて(103手目▲6六飛)、以下

△4七桂成~▲同馬に△7五金~▲6八飛~△2七成香~

▲5六馬~△5五銀~▲4五馬~△6七歩~▲同馬をみて

△6六歩~▲4五馬~下図116手目△5三金と進行。。

 

 

 

116手目△5三金。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 銀、桂、歩5

△羽生竜王: なし

 

羽生竜王は何とかアヤを求めますが

広瀬八段は馬の上下で難なくかわし、間合いを計ります。

 

ならば、と羽生竜王は

離れ駒の金を引きつけ、徹底抗戦の構えをみせますが。。

 

 

 

129手目▲6三飛成。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 金2、桂、歩4

△羽生竜王: 角、歩2

 

ここまで力を溜めに溜めた

広瀬八段の攻撃軍が気持ちよく捌かれて行き

運命の針はゆっくりと、先手に傾き始めます。。

 

 

 

146手目△8ニ飛。

 

上図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 金2、銀、歩5

△羽生竜王: 歩3

 

簡単は終われない羽生竜王は猛攻に次ぐ猛攻で

先手玉をギリギリのところまで追い詰めてから受けに回り

最後の最後まで勝利への執念を燃やし続けますが。。

 

竜王戦/第7局の棋譜中継はこちら

 

 

【 投了図・167手目▲2一銀 】

 

 

 

投了図での持ち駒

 

▲広瀬八段: 金2、歩5

△羽生竜王: 桂、歩3

 

 

優駿・広瀬八段の集中力は途切れることなく

熱く、激しく、そして冷静にして正確無比に敵将を追い込み

上図の局面をみて、羽生竜王は無念の投了を告げました。。

 

終局時刻は午後6時49分。

世紀の決着戦を見事な完勝で制した広瀬八段が、文句なし

4勝3敗の成績で番勝負を制し、竜王奪取を成し遂げました。。

 

一方、執念の粘りも実らず無念の黒星を喫した

羽生竜王は27年ぶりとなる、無冠転落となりました。。

 

 

 

□□□

 

竜王戦/第7局・一日目の所感。。

 

羽生竜王、正念場にて。。

 

 

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Source: 柔らかい手~個人的将棋ブログ
羽生竜王、27年ぶりの無冠転落。。第31期竜王戦/第7局「見事な完勝で文句なし、広瀬新竜王誕生」