通算１００期目のタイトル防衛を目指す羽生善治竜王に
優駿・広瀬章人八段が挑戦する、第３１期竜王戦７番勝負。
ここまで３局を消化し、羽生竜王が２勝１敗とリード。
両者にとっての正念場となる急所の第４局が、本日より
京都府福知山市「福知山城」にて開幕。。
本局の先手は、広瀬八段。
その初手は飛車先を突く▲２六歩から。。
２手目△８四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△羽生竜王： なし
対します、羽生竜王も
２手目に同じく飛車先を突く△８四歩と返し
対局はスタートとなりました。。
４手目△８五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△羽生竜王： なし
次に両者は息を合わせて飛車先を決め
まずは「相掛かり」の出だしとなりますが。。
７手目▲７七角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△羽生竜王： なし
続く５手目に、広瀬八段が角道を開くと
羽生竜王は追随せず、角道を閉じたまま
△３ニ金と返し、先手に手番を渡します。。
この手に対し
広瀬八段は１分の少考の後、飛車先を角で受け
「角換わり」での勝負を指向しました。。
９手目▲６八銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△羽生竜王： なし
次に、羽生竜王が角道を開いたのをみて
広瀬八段は銀を６筋に上げ、後手からの角交換
あるいは角交換拒否に備えると。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： なし
△羽生竜王： 角
羽生竜王は３分の少考で角交換を敢行。
戦型は今シリーズ開幕から４局連続となる
「ノーマル角換わり」となりました。。
１９手目▲４七銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
角交換成立後
広瀬八段は居玉のまま、銀を４七の地点に繰り上げ
「ノーマル角換わり」の常套手段「腰掛銀」を目指します。。
２０手目△７四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
一方、先に居玉を解除した
羽生竜王は上図で飛車のコビンを開き
「早繰り銀」と｢棒銀」を含みとしました。。
２８手目△６三銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
しかし、羽生竜王は銀ではなく
桂馬を飛車のコビンに跳躍させると（２２手目△７三桂）
銀を６筋に立て、先手と同じく「腰掛銀」を指向します。。
３３手目▲４八金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
両者は銀の形を決める前に
自陣の駒組みを進行させ、広瀬八段は上図の局面で
最新形の「▲６八玉＋４八金＋２九飛」型を完成。。
この手をみて、羽生竜王は。。
３４手目△７ニ金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
代えて先手と対称を成す「△６ニ金」型もありましたが
本局では８分の考慮で金を７筋に上げ、同じく最新形の
「△４ニ玉＋７ニ金＋８一飛」型を採用しました。。
３６手目△６ニ金。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
自陣の駒組みが組み上がったところで
広瀬八段は銀を中央５筋に繰り出し（３５手目▲５六銀）
「腰掛銀」に形を決めます。。
この手をみて、羽生竜王は
７筋に構えたばかりの金を、６筋に寄せて一手パス。。
手損覚悟で先手に手番を渡しました。。
この手は想定の範囲内とばかりに
広瀬八段は４分の少考で６筋の歩を突くと。。
（３７手目▲６六歩）
３８手目△５四銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
羽生竜王はこのタイミングで、銀を５筋に繰り出し
戦型はおなじみの「角換わり相腰掛銀」に決定しました。。
４５手目▲４五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角
先に仕掛けたのは、広瀬八段。
互いにパスを繰り返し、間合いを計り合ってから
羽生竜王が４筋の歩を突いた瞬間に（４４手目△４四歩）
すかさず歩を突き合わせました。。
羽生竜王は△同歩（４６手目）と応じて、以下
▲同銀に△５五銀～▲２四歩～△同歩をみて
下図５１手目▲２五歩と進行。。
５１手目▲２五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角、歩２
羽生竜王が銀交換を拒むと
広瀬八段が飛車先２筋から絡みついた、上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩突入となりました。。
【 お昼のメニュー 】
広瀬八段： ステーキ重定食、アイスティー
羽生竜王： 親子丼、グレープフルーツ
５２手目△４四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角
△羽生竜王： 角、歩
午後の対局開始の一手で
羽生竜王は４筋に浮いた先手の銀の頭上を叩き
反撃の狼煙を上げます。。
５５手目▲５六銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、歩
△羽生竜王： 角
銀が詰んだ広瀬八段は２筋の歩を取りこんでから
羽生竜王が△２ニ歩（５４手目）と低く受けたのをみて
銀を５筋に引き戻し、銀交換に応じます。。
５８手目△４七銀。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、銀、歩
△羽生竜王： 角
直後に銀交換が成立すると
羽生竜王は握った手番で、手にしたばかりの銀を
先手陣で孤立する金の頭上に露骨に投入。。
▲同金と応じると、次に△３八角がうるさく
広瀬八段が玉で受けたのをみて（５９手目▲５七玉）
羽生竜王はヒラリと銀を翻し、拠点を作りました。。
（６０手目△３六銀成）
６３手目▲７五歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、銀、歩
△羽生竜王： 角、歩
羽生竜王が３筋の歩をつきだし
ぎゅっと成銀にヒモをつけたところで（６２手目△３五歩）
広瀬八段は後手の桂頭を標的に、７筋から反撃を開始。。
羽生竜王が３０分の考慮の後
△同歩（６３手目）と応じたのをみて。。
６５手目▲７四歩。
上図での持ち駒
▲広瀬八段： 角、銀
△羽生竜王： 角、歩２
１時間１８分にも及んだ大長考の後
広瀬八段が桂頭を歩で叩いた、上図の局面で
終了時刻（午後６時）となり、羽生竜王がそのまま
次の手を封じて、一日目は終了となりました。。
後手の桂馬は助かる見込みはなく
この一手で何か代償を求めたい羽生竜王にとっては
今後の展開を見据えた、考えどころでの「封じ手」に。。
形勢はまだ互角の範囲内にも思われますが
すでにどちらかに流れが傾いている可能性もあり
決着の明日二日目は、開始直後から目が離せません。。
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Source: 柔らかい手～個人的将棋ブログ
第３１期竜王戦７番勝負/第４局・一日目「中盤の急所、羽生竜王が封じ手」